『先生とわたし』文庫版

四方田犬彦『先生とわたし』の文庫版が出ていたので立ち見。私(というか、英文学者とかならみな気づいたり指摘したりしている)が指摘した間違いは、直っていない。大橋健三郎が東北大出身であること、由良先生の退官記念論集には駒場島田太郎、のち英文科主任となる富士川義之も寄稿していること、である。
 解説は稲賀繁美さんだが、事実誤認はない、とか書いている。前にもそんなことを言っていたから、ここは違ってますよと言ったのだが、まあ稲賀さんが言っているのは細かな(誰それがどう言ったとか)のことらしいのだが、なんでこういうきっちりした間違いを直さないかなあ。
 新潮文庫なんだから、「東大英文科では当時は東大出身者しかとらなかった」とか、由良先生の記念論集には駒場の英語科同僚も、正統な英文学者も、高山宏以外は一人も寄稿しなかったとかいう、事実と違うことが流布するのは嫌なのだが。