私もオタどんに倣ってゼロ年代(この言葉好きじゃないが)のベスト本をあげてみよう。
桃谷方子『百合祭』2000 
加藤詩子『一条さゆりの真実』2001 
酒井邦嘉『言語と脳科学』2002
猿谷要『ハワイ王朝最後の女王』2003
阿部和重シンセミア』2003
沓掛良彦『エロスの祭司 評伝ピエール・ルイス』2003
坪内祐三『『別れる理由』が気になって』2005 
勝目梓『小説家』2006
西村賢太『どうで死ぬ身のひと踊り』2006
 2007年以降はないのか? といえば、まだ読んでいないのがあるのかもしれないし、やはり三年くらいたたないと冷静な判断はできない。

                                                                                  • -

『黒船前夜』が朝日にも書評が出て、これで読売、毎日、東京と揃ったわけで、しかしあれって他人の本のつぎはぎで、別に新事実はないと思うのだが。

                                                                                  • -

たぶん単行本に入っていないのだろうが、島田雅彦が無限カノン三部作を出した時に福田和也が批判した文章がある(『新潮』2004年1月)。これが人を食った文章で、自分が子どものころ「チンパン探偵ムッシュ・バラバラ」という洋ものドラマがあったのだが、誰も信じてくれず、中には泉麻人に連絡して、そんな番組はありませんと言ってくる人もいた。しかし島田だけはこの番組を覚えていてくれるとかいう前置きである。
 だがそれから一、二年で、私や福田や島田が子供のころの輸入ドラマやアニメに関する情報はネット上でやたら充実して、主題歌を集めたCDも出るし、今どき「ムッシュ・バラバラ」が存在しない、などと言う人はいない。
 私もおおかた情報は把握して、「アッポしましまグー」が存在しないなどとは言わせないのだが、ひとつだけ、主題歌を覚えていてそれが何だか分からないのが残っている。ランランラ、ランラランラ…というやつだが…。