新刊です

大河ドラマ入門 (光文社新書)

大河ドラマ入門 (光文社新書)

 『大河ドラマ入門』の見本本が届いたが、その中に、私は「クレジットタイトル」と書いたのに「タイトルロール」にされている個所を発見して仰天した。タイトルロールというのは、『カルメン』のカルメン役という意味である。なんでよりによって私の本で、しかも私はちゃんと書いたのにこういうことになったのか、もう情けないとしか言いようがない。呉智英さんの本で「すべからく」が誤用されているみたいなものだ。
 ほかにも私の責任ではない間違いが多い。笠谷和比古なんて「かさがや」とルビが振ってあったからゲラで直したのに直っていない。
35p「勘助の恋人らしい女が武田信玄に射られて死ぬ」これも私は「信虎」と書いた。

 急いで作ったせいで凡ミスがある本ですが読むのに支障はないです。挿絵は、登場俳優の写真が肖像権の関係で使えないというので、私が電話口で「じゃあ私が似顔絵描きましょうか」と言ったら、じゃあそうして下さいと言われたので、おいホントかよいいのかよと思いつつ、僅か十日という納期で妻と手分けして描きました。あの時は電車に乗って人の顔を見ると似顔絵を脳内で描いてしまうという状態でした。断わっておくが私はこの似顔絵は気に入っている。まあもうちょっとクリナップすれば良かったと思うだけ。
(小学生レベルとか言ってる人は、じゃああんたは大人なんだから描いて見せて、と言いたい)

訂正
p.56 「温厚な紳士風の尾上菊蔵が」これは私は「児玉清」と書いた。『太閤記』は観ていないので尾上菊蔵のことなんか書くはずがない。(これは校閲が「尾上菊蔵では」と言い編集者が電話で私に伝え、私もいきなりだったから「そうですね」と言ってしまったようだ。違和感を覚えた記憶がある。校閲も良くない)
p.94 『新選組!』の西郷隆盛役・宇梶剛士(確かに私が身落としたのだが、編集者には「配役宝典」で確認するように言った)
 『花神』の伊藤孝雄は島津斉彬でなく徳川慶喜。これも私のミスだが上に同じ。
p.180「安積艮斎」は「安積澹泊」…これもゲラで直したはずなんだが。
p.110の「柳沢吉保」が「阪東八十助(現・三津五郎)」とあるのは「坂東三津五郎」つまり八代目だが、編集者が勝手に直した。
p、135の作曲家の表は、『秀吉』『功名が辻』が本来小六禮次郎のところにあるのが下へなぜかずれ、一つずつずれるという惨事になっています。
p.183 3行目「う詳しい」「う」は余計。
またp.160で、将軍家定は本当は脳性まひだったらしいが、その通り描いていたら視聴者が篤姫をかわいそうがって仕方がなかっただろう、と書いたのだが、差別表現になるとか言われて、適当に直して下さいと言ったらちょっとおかしな表現になった。

あと指摘された間違い
p.53 「読本『真田三代記』」は「実録」
「近世説美少年録」は「きんせせつ」
あと時代考証の相馬皓というのは相馬御風の三男らしいのだが、『明治文学全集』の年譜を見ると三男だけ出生が書いていない。昭和女子大を見てこなければ。
84年死去、と分かった。
 なお「配役宝典」への謝辞を忘れて申し訳ない。

文学研究という不幸 (ベスト新書 264)

文学研究という不幸 (ベスト新書 264)

 新刊です。大橋洋一東京外国語大学卒、とあるのは東京教育大学の間違いです。また英文学会会長は昨年から丹治愛氏に代わっています。
p.51 「東京医科歯科大学」→「日本医科大学
p.77 小島信夫は工学部のち理工学部教授 
大橋洋一は英国へ研究員として一年間行っていたと指摘を受けたが、それは狭義の「留学」ではないし、これに
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/publication/nenpo08/nenpo8.3.20eibun.html
 載っていないからあえて訂正しない。これは世間へ向かって業績を申告する文書であり、そこで留学ないし在外研究を記していないということは、本人の責任だからである。
 なお東大の定年は3年ごとに1年ずつ上がって65歳に至るということです。しかし、となると誰も定年にならない時期が三年おきに来るってことですかね。旧帝大、筑波大、神戸大は63歳定年なので最終的にはそれを超えることになるのか。
 また澤井繁男氏が「専任の声も何度かかかりましたが」と書いているのは、予備校の専任のことだそうです。