「役不足」両用説

 水上勉飢餓海峡』(1963)を読んでいたら、「役不足」の誤用を見つけた。新潮文庫版下巻126pで「力不足」の意味で使われている。
(活字化のため削除)

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ガラスの仮面』の月影千草は、山本安英がモデルだと言われる。つまり「紅天女」は「夕鶴」である。しかし、「紅天女」の作者尾崎一蓮は千種よりずっと年上で、自殺している。対して木下順二は、まあ確かに山本の「愛人」ではあったが、山本より年下で、山本より長く生きている。となると、これは『女の一生』の作者で、早世した森本薫と、その愛人でこれを演じ続けた杉村春子、とも言える。あるいは自殺したという点からは加藤道夫、とも言える。そうなると『なよたけ』になるわけで、まあそんな風にいろいろ綯い交ぜにしているということだろう。ただ残念ながら『なよたけ』は、一女優によるロングラン、にはならなかった。
 杉村は『女の一生』を平淑恵に譲ったが続かなかった。森繁久弥は『屋根の上のバイオリン弾き』を西田敏行に譲ったが、これも続かなかった。もし田中裕子が舞台女優で、布引けいをやっていたら、続いただろう、と思う。
 それで問題は『ラ・マンチャの男』の後継者なのだが、鹿賀丈史というのが一番なんだろうなあ。年齢差が八つだからそう長くは続かないだろうが、幸四郎がどこで引退するか…。