ストックホルム症候群の濫用

 千葉県で母親を殺して次女を連れて逃げ回っていた男のニュースを見ていたら、お茶大の戒能民江が出てきて、「怖くて逃げられなかったのでしょう」とか言っていたが、当人に会ったわけでも、精神科医でもないのにいい加減なことを。
 この戒能というのは、十年前にヨコタ村上がセクハラ事件を起こした時、全国セクハラ対策ネットワークか何かの代表だったので、私が電話して話したら、はじめ「ああ、それはひどい」とか言っていたのに、ヨコタ村上の名前を出したとたん、「まあ、当人にも未来がありますからねえ」といきなり加害者擁護で口をすべらした人だから、信用していない。当時YMはフェミニズム界のアイドルだったらしい。
 しかし、ストックホルム症候群だとか、家族に危害が及ぶのを恐れた、とか説明がまちまちで、怪しすぎる。まあ国民の大方は、この次女、怪しいと思っているに違いないのだが…。しかしこんなことを書くとまた被害者連絡協議会が出現するかもしれない。

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セックス中に膣痙攣で抜けなくなる、ってのは都市伝説だと思うが、ウィキペディア編集合戦になっている。『美人作家は二度死ぬ』を褒めてくれた先生は、都市伝説だと主張しているし、私もそうだと思う。だって痙攣したらペニスは縮むわけで、縮んだものが抜けないなどというのは考えられない。

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週刊ポスト』に工藤美代子の著者インタビューが載っていたが、経歴が間違っている。「1973年、二番目の夫がカナダに赴任するのでバンクーバーに移住」じゃなくて、「1973年、妻のある男がバンクーバーの大学に勤務したので押し掛け女房となる」である。

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はてなキーワード小倉千加子を荒らしている奴がいるんだが、小倉がどこでレズビアンだとカムアウトした? しかもベティ・フリーダンの『新しい女性の創造』を中川八洋の発言から引用、って、現物に当たれよ。

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そういえば『私小説のすすめ』で、『悲望』を褒めてくれた人を挙げた中で、豊崎由美さんを抜かしていた。もう意図的じゃなくて単に忘れただけですすみませんトヨザキさん。

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以前、『大正時代の身の上相談』をちくま文庫に入れる際、事実上私が編集し直したのだが、その中に、元本の編纂者のコメントとして、二度の災難にあった相談者について「広島で被爆して、長崎の親戚宅へ避難したらそこでも被爆したという話があるが…」とあって、冗談めかして書いてあったから、とんでもないと削除した。
 山口彊の『二重被爆』が文庫版になったが、これによると、広島と長崎で二度被爆した人は165人程度いるらしい。たぶんこのコメントを書いた人は、そんな人がいるとは思わなかったのだろう。

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ところで昨日『シベリア超特急』を観たのだが、さして面白くはなかった。水野晴郎という人は、しかしいずれ伝記が出たりしたら面白いかもしれない。ただ山下奉文が「中国」をくりかえすのはいただけなかった。
 最近「さかのぼって修正」するやつが多くて困る。山川の世界史年表でも、19世紀に「ミャンマー」なんて書いてあるし、ウィキペディアで、古いことなのに「中央公論新社」とか「朝日新聞出版」とか書いている奴がいた。歴史的呼称というものを理解していないのではないか。