妄想に陥る片岡直子

前にも書いたことだが、
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20080406

 先日の栗原さんと枡野さんとのトークショーでも片岡直子による小池昌代への非難攻撃の話が出て、ああいうものを載せた『文學界』の見識を疑うみたいな話になったのだが、『現代詩手帖』の昨年5月号で、片岡がなおも攻撃を続けていることを知った。さらに歌人島田修三という人が、『短歌現代』の06年1月号で片岡を支持して小池を攻撃しているのも分かった。私は当初、島田修二と混同していて、そんな偉い人がこんな文章を、と思ったものだが、島田修二はもう物故していた。
 はっきり言うが、片岡は妄想に取り付かれている。病んでいる。片岡はブログでなおも、小池が剽窃を続けていると訴えている。中でも、片岡が『かまくら春秋』に連載した小説を片っ端から剽窃していると言っている。しかし、その実例は、

http://www.a-happy.jp/blog/otonasii/2008/04/post_143.html#comments

「夏子は力をこめて、メールの送信ボタンを押した」
・・・片岡の「かまくら春秋」潤・54の小説の、第14回の最終行を少し変えただけの表現。

「自分から先にメールを送ったり、電話をかけたりすることは決してするまい、と夏子は固く決めていた。」

・・・「かまくら春秋」潤・S57の小説の、第17回の冒頭部分を使ったと思われます。

 といったものだ(ただし前者は、これだけなら問題にならないはず、と言いつつ、自分の文章の剽窃だと固く信じている)。
 片岡が病んでいるのは言うまでもないだろう。私は片岡とも小池とも何の関係もないが、座視するに忍びない。だいたい『かまくら春秋』なんて、定期購読でもしなければ手に入らない雑誌である。小池が購読しているという証拠でもあるのだろうか。特に片岡を煽ったに等しい島田修三に対しては、その見識を疑いたくなる。島田は愛知淑徳大学副学長である。小池もまた、面倒を恐れて黙っているのだろうが、法的手段をとるべきだと思う。私だったら「大波小波」の卑怯な匿名筆者を引きずり出してやるところだ。
 島田の文章には、こうある。

 岬多可子詩集『官能検査室』の刊行は一九九一年、その八年後に小池の詩集『もっとも官能的な部屋』が出る。岬と小池は『ラ・メールの新人』として近い関係にあった仲間であり、仲間うちの個性的な詩集名に酷似したタイトルを平然とつける小池の神経を疑うところから論は書き起こされる。

 酷似してますか! 島田も、これが酷似していると思ったのだろうか。高橋源一郎の『官能小説家』なんて、さらに酷似していますね、高橋を糾弾したらどうでしょうか、中原中也賞の選考委員ですよ。
 因みに言います。児童文学者・椋鳩十は1971年に『モモちゃんとあかね』を出して赤い鳥文学賞をとり、松谷みよ子は『モモちゃんとアカネちゃん』で75年に同じ賞をとっています。神経を疑うどころじゃない。また曽野綾子の初期代表作は「遠来の客たち」だが、のち芥川賞をとった米谷ふみ子は「遠来の客」で文學界新人賞をとっています。そんなことで遠慮したのは、筒井康隆が短編集『母子像』を出したあとで、久生十蘭に同名の作品があることを知って、文庫版で『革命のふたつの夜』と改名した程度で、もちろん中には短編「母子像」が入っています。冗談じゃない。
 (小谷野敦
 
付記:どうやら小池昌代ではなく、小池真理子の連載小説が自分の剽窃だと思っているようだ。以下キャッシュ。
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?p=%E5%B0%8F%E6%B1%A0%E7%9C%9F%E7%90%86%E5%AD%90+%E8%AA%AD%E5%A3%B2%E6%96%B0%E8%81%9E%E6%9C%9D%E5%88%8A%E9%80%A3%E8%BC%89%E5%B0%8F%E8%AA%AC&search_x=1&fr=top_ga1&tid=top_ga1&ei=UTF-8&u=www.a-happy.jp/blog/otonasii/2008/08/index.html&w=%E5%B0%8F%E6%B1%A0+%E7%9C%9F%E7%90%86%E5%AD%90+%E8%AA%AD%E5%A3%B2+%E8%AA%AD%E3%81%BF%E5%A3%B2+%E8%AA%AD%E3%81%BF%E5%A3%B2%E3%82%8A+%E8%AA%AD%E5%A3%B2%E3%82%8A+%E8%AE%80%E8%B3%A3+%E6%96%B0%E8%81%9E+%E6%9C%9D%E5%88%8A+%E9%80%A3%E8%BC%89+%E5%B0%8F%E8%AA%AC&d=ImtZXvReRZGU&icp=1&.intl=jp

 たぶん「小池ま」というところに反応したのだろう。被追跡妄想、関係妄想の上に、固有名詞の類似に属性の類似を感じ取る段階に達しているようだ。