しばらく、ヨコタ村上がいることに抗議して退会していた比較文学会に戻り、昨日学会誌『比較文学』が届いた。中に、巽孝之の英文著作の、ヨコタ村上による書評が載っていたが、その末尾を見て私は「ここまで・・・」と思った。「評者は夢みたい。西田幾多郎平川祐弘が、巽孝之が、異形のゴジラに変容して、太平洋を、大西洋をわたり、デリダを、ラカンを、ジェームソンを、けちらし踏みちらしていくさまを」と結ばれている。「巽孝之」はまあ書評対象だからいいとして、「平川祐弘」というのは、恐るべきレベッカ、いやおべっかである。恥も外聞も振り捨てたというかっこうだ。蹴散らされるのは、何の説明もなくガダマーがどうとかいうヨコタ村上のほうだと思うし、かつてナショナリストとしてひどく嫌っていた平川先生に、なぜ今になってこんなあからさまなおべっかを使うのであろうか。ヨコタ村上は阪大助教授であり、まあ財前五郎といったところだが、別に放っておいたって教授になるだろうし、これ以上何が欲しいのか。学会での出世でもしたいのか。
 「比較文学などやめてしまえ」と言いつつ学会にしぶとく居座り、その上学会での出世までしようというのだろうか、この男は。つくづく呆れ果てた。そのうち、また退会するかもしれん。
 (小谷野敦

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ファイザー社製の禁煙薬、なんか副作用があるとかで。一ヶ月ほど前、某週刊誌がこの薬が日本でも発売されるというので私に電話取材があったのだが、どうやら私の禁煙ファシズム関係の本など碌に読んでいないらしく、ひとくさりまくしたてたら「いやあ、過激な話で…」とか言って、その禁煙薬は、使う気はありませんよね、と言うから、当たり前だと言って切ったら、ほどなく再度かかってきて、「デスクが確認しろというので、…禁煙薬を使う気は、ありませんか・・・いやないですよね」みたいな話で、結局私のコメントは載らなかったのだが、最近は週刊誌まで禁煙ファシストになってきている。

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前に書いたと思ったが書いていなかったかな。私の友人が某五流大学で教えていた時のこと。学生に「明治四十年以前の小説を読んでレポートを出せ」と課したところ、学生から通報でもあったのか、学科長か何かに呼び出されて、「そんなものどうやって見つけるんだ。古本屋で探せというのか」と言われたという。もう、五流大学がいかに何々、というより、こりゃ怪談だよ。