オリンピックの音楽

 佐々木倫子の『動物のお医者さん』(単行本は1989−94)は、当時私も楽しく読んだものだが、その中に、二十代後半と思しい院生の菱沼さんが、年下の男と恋愛関係になりそうな時、札幌オリンピックの主題歌で、トワ・エ・モワが歌った「虹と雪のバラード」を知っているかどうかを目安にするエピソードがあった。91年頃とすると、菱沼さんは私より少し年下、札幌オリンピックは1972年なので、もちろん私はよく知っていた。結局若い男はそれを知らず、菱沼さんは失恋するのだが、もはや今では、それではなく、1984年のロスアンジェルス・オリンピックの時のジョン・ウィリアムズのファンファーレを知っているかどうかを目安にせねばなるまい。何しろその当時生れた子がもう22歳なのだ。ああ。ところであのファンファーレは、サン=サーンスのピアノ協奏曲第三番の第一楽章の第二主題のパクリだと、いま気づいた。これ、常識なのかしら。

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 ミネルヴァ書房の「日本評伝選」の予定刊行書目が増えた。未刊のものは概算すると320点で、現在のペースは月一冊だから、全部終わるのは27年後。前途遼遠だなあ・・・・・・・まあ吉川弘文館の「人物叢書」も、予定されたまま書かずに死んじゃった人とか、多いし。