作家・城山三郎が、角川書店のPR誌『本の旅人』に見開きの随筆を連載している。が、このところ様子がおかしい。ある回では、夕飯をとるべく電車に乗って隣の駅へ行ったら、駅を降りるとあたりは閑散としており様子が変で、帰りの電車もなくタクシーで家まで戻ったという。当人は、ボケたわけではないが不思議な体験と書いているが、それはやはりボケたのでは…と思っていると、次は、仕事で京都へ行き、帰りは自分で自由席券を買って新幹線に飛び乗り、藤沢周平の本を読んでいたら「次は新横浜」とアナウンスがあって、冗談ではないと思ったが新幹線は無情に降りるはずの小田原を通過して新横浜へ、というのだが、だいたい小田原を通過するならこだまではない。のぞみなら小田原に止まるはずはないからひかりだろうが、ひかり号が小田原に止まることは滅多にない。一日に五便くらいである。それをむやみとひかり号に飛び乗って、小田原に止まると思っているというのが、どうもおかしい。そのあとの文章も、何か乱れがある。城山先生79歳、担当編集者はどう思って掲載しているのか知らないが、もうまだらボケになっている。周囲の人々はなんとかしてほしいと思う。