問答無用

 大学四年で教育実習に、出身中学に行っていた時のこと、授業計画を書かされた中に「摑む」という文字があった。それを教頭か何かに見せたら、「ああ、この字は旧字なので…直して…」と言われ、私は「ああ、これは当用漢字になっていないので、旧字ではないのです」と答えたのだが、教頭か何かは何も言わず、わたし担当の女性教諭は、引き下がってきた私に「その字は直してください…」と、いかにも(困ったやつ)という風情で言ったものである。
 今だって「摑む」は常用漢字ではないし、「掴む」などという表記はマスコミが勝手に作って使っているのである。じゃあ何で煮沸消毒の「沸」は右側をムにしないのだ?
 もちろんこの教頭はバカなのだが、そういうバカでも上役に対しては「口答え」してはいけないらしい。問答無用なのだ。バカでも上役は上役なのだ。

 「家事代行サービス」というチラシが郵便受けにあった。ふと見るとおかしなことが書いてあって、
・共働きでお困りの方
・単身赴任で掃除が出来ない方
・片付けられない女性の方
・・・
 なんだこの「女性の方」って。なんかこれ、男は家事ができず、かつ妻がいるものと決め付けて「単身赴任」とか書いているようにしか見えない。