2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

谷崎潤一郎と井伊直弼

谷崎潤一郎は、松子と結婚してからは、大坂の陣では豊臣びいきだった。それは、松子が豊太閤びいきだったのと、谷崎の先祖が近江出身だと分かり、石田三成に共感していたからで、「春琴抄」の春琴と佐助の関係は、淀殿と三成を模したものであろう。 しかし谷…

神谷光信「村松剛: 保守派の昭和精神史」アマゾンレビュー(削除された)

初の伝記 星4つ、2023/04/24 これまで村松剛にはちゃんとした年譜すらなかったが、初の伝記として価値がある。しかも、イスラエルの立場に反共ということで同調してしまう村松へも批判的で、なあなあ伝記になっていない。三島由紀夫の同性愛を否定したのも、…

川本直「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」アマゾンレビュー(削除された)

3点 力作ではあるが かねてからの戦後アメリカ小説研究の成果に、五年ほどをかけて架空の小説家一人を描き出した力作だが、読むのが前半ではつらかった。何よりジュリアン・バトラーが極めて不快な人物であり、フォニイ感が激しかったからで、後半になるとジ…

目時美穂「たたかう講談師 二代目松林伯円の幕末・明治」アマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち4.0 初の伝記 2023年4月18日に日本でレビュー済み 「天保六花撰」の原作者として知られる講談師の伝記。初の伝記なので貴重な書だが、もう長いこと、講談関係の本は売れないと決まっているので出なかったのだろう。あと諸説ある場合恣意…

「歴任」について

「愛媛新聞」の3月29日号に、校閲係らしい山根健一という人の「校閲あれこれ(124) 官職でなくても」という文章が載っている。私の『頭の悪い日本語』(新潮新書)に、「歴任」というのは、本来は官職を歴任することだと書いたのを見て、辞典によっては…

音楽には物語がある(52)サントラ盤の謎 「中央公論」四月号

岡田利規の戯曲「三月の5日間」は有名だが、何といっても「ミッフィーちゃん」と自称するいけてない女が登場するところが白眉で、そこでミッフィーちゃんは知り合った男とたわいない会話を交わすのだが、そこで、映画のサントラ盤って買っても一回聴いてそ…

伊集院光と大江健三郎

www.youtube.com YouTubeにこんなものがあったので聴いてみたら、伊集院光という人が大江健三郎と普通に難しい話をしているので驚いた。伊丹十三の映画「マルタイの女」に出たことで大江と知り合ったらしいが、「光」という名前も大江の長男と同じだ。 大江…

芥川賞選考委員たちの負った「傷」

倉本さおりとの芥川賞対談(「週刊読書人」)で、今の芥川賞選考委員の間には、古市憲寿、千葉雅也、乗代雄介、鈴木涼美など、他の分野で活躍していたり、派手な感じの人に授賞したくないという雰囲気があると指摘したが、やはりこれは、又吉直樹に無理をし…