2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

工藤庸子「評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ」アマゾンレビュー

いくつかの問題点 星3つ - 評価者: 小谷野敦、2023/02/24 蓮實重彦がこの書物を抱擁したいと書いているので読んでみたが、フェミニストであ るらしい東大名誉教授の女性がスタール夫人について書くことは、天皇制を容認する 人ではないかと、その一方で安保…

「「知」的放蕩論序説」アマゾンレビュー

ポモと博士号 星1つ - 評価者: 小谷野敦、2023/02/26 蓮實重彦のインタビュー集。2000年のものなので23年も前だが、『文学部唯野教授』を「誰が書いたか忘れたが愚かな小説」とか言っていて、筒井康隆と共著を出す現在からは隔世の観がある。あとこれから十…

平山瑞穂の作品について

平山瑞穂の「エンタメ作家の失敗学」(光文社新書)という、作家が売れなくなり本も出してもらえなくなったという内容の本への、私のアマゾンレビューが「冷酷」だと言われているが、私自身も境遇は平山と同様なので、読んで、これでは売れないと思ったのと…

赤木かん子への手紙

児童文化評論家の赤木かん子に手紙を書いたのは、大学一年の時だったような気がする。それは赤木の「ヤングアダルト」というジャンルをもっと広げるべきだという論旨の文章に反対したもので、私は、高校生くらいになったら、別に大人が読むものを普通に読め…

古文の小山先生

私は高校一年の時、古文を小山先生というおじいさん先生に教わった。総白髪だったが、翌年からは姿を見なくなったので、あれで定年になったのかもしれない。それにしては元気な先生で、当時NHKで放送していた「日本巌窟王」などを観ていたようだ。 この先生…

中学校の女子同級生

松本零士の「インセクト」だったかに、もてない男が昔の同級生女子を呼び出して嫌がられるというのがあった気がするが、私のように男子高校へ行った男には、中学の同級生だった女子に、もわあっとした幻想を抱くことがあった。 あれは高校三年の時だったか、…

音楽には物語がある(50)石川ひとみと山口百恵 「中央公論」2月号

横綱・北の湖と千代の冨士は相次いで世を去ったが、年齢差は北の湖が2つ上なだけである。活躍次期がずれているのは、北の湖が21歳で横綱になり、31歳で引退したのに対し、千代の冨士は26歳で横綱になり、35歳までとったからである。豊臣秀吉と徳川家康は5…

山下武「大正テレビ寄席の芸人たち」アマゾンレビュー

なかなかキビシイ星3つ - 評価者: 小谷野敦、2023/01/30著者はすでに故人だが、柳家金語楼の長男でテレビプロデューサー、椎名麟三に師事した文芸評論家、私はこの人の長男と高校一年の時同じクラスだった。手がけた番組「大正テレビ寄席」は日曜のお昼にや…