2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石の誤訳?

夏目漱石の「行人」に、メレディスの書簡に書いてある言葉が引かれている。それは、自分は女の魂をつかまなければ愛することができない、私は女の魂をつかまずに愛することができる男がうらやましい、というもので、これを引いた一郎は、自分は妻の魂を掴ん…

「いい子のあくび」断想

芥川賞をとった高瀬隼子の、唯一単行本になっていない「いい子のあくび」(「すばる」2020年5月)を参考のために読んだら、この作家のものとしては一番面白かった。主人公は25歳くらいの女だが、彼氏が25歳で、初めて友人の結婚式に出席すると聞いてちょっと…

「高名な学者になるのか?」

大学生の時「児童文学を読む会」に入っていて、五月祭と駒場祭では展示をやり、同人誌を作って販売していた。 私が三年生の駒場祭の時だったが、英文科の後輩にあたるZ君と二人で、最前列に座っていたら、三十代くらいの男性が入ってきたので、同人誌の売り…

著書訂正

「面白いほど詰め込める勉強法」(幻冬舎新書) 63p「原作では男の医師が、中野良子の女医に変えられており」→原作でも女医

音楽には物語がある(44)柳家小三治と中田喜直 「中央公論」八月号

落語家の柳家小三治が死んで、『ユリイカ』で追悼特集をやった時、みなが小三治を礼賛する中で、放送作家の石井徹也の「私が知っている柳家小三治」は、ほぼ批判に終始していて、こういうのもなくちゃいけないと思った。実際小三治は、私は五十代のころは好…

差別しているかもしれない

フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー映画「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」を観た。長くてつらいところもあったが、ぎょっとしたのは最後のほうで、身分証か何かをもらうための面接の準備で講習をしているところで、「東西南北」に…

原基晶「ダンテ論 『神曲』と「個人」の出現」アマゾンレビュー

ダンテはなぜつまらないか星5つ 、2022/08/06 私は長いことダンテが苦手だった。ベアトリーチェの話には恋愛の生々しさはないし、「神曲」は平川祐弘先生の訳で読んだがつまらなかった。平川先生の解説本も読んだが一向に腑に落ちなかったし、私には何だか平…

統一教会と原理研

私は仲正昌樹と同期だから、駒場キャンパスでは夕方、帰路につくところをよく原理研に誘われた。もちろん相手はしなかったが、夕飯のあと、居間で母にその話をしていたら、寝転がってテレビを観ていた父に母がその話をしたが、話をろくに聞いていなかった父…