2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「肩させ裾させ」と「促織」

コオロギのことを「ツヅレサセコオロギ」とも言い、これは秋になって鳴くのは、寒い冬に備えて衣服を織れと促して「肩させ裾させ綴れさせ」と鳴くからだと説明されている。 しかしこれは、シナ発祥のことがらで、シナではコオロギを戦わせる「闘蟋」という賭…

三田誠広「遠き春の日々 僕の高校時代」アマゾンレビュー

5つ星のうち2.0 お疲れさまでした 2022年5月18日に日本でレビュー済み 長年の作家生活お疲れさまでしたと言いたくなる。加賀乙彦推奨特別文学賞も受賞しているが、第一回が三田の盟友岳真也では人脈が見え見えだ。埴谷雄高もそうだが、なんでこうドストエフ…

近松秋江の日記

青木正美さんから著書「昭和の古本屋を生きる」(日本古書通信社)を送ってもらったら、青木さんが以前所持していた近松秋江の未刊行日記の紹介があった。大正十四年(1925)のもので、新潮社から出た「文章日記」だが、あまり本式には書かれておらず、三万…

ヘンリー・フィールディング伝 澤田孝史    アマゾンレビュー

これは面白い星5つ 、2022/05/06こんな面白い伝記がなんで刊行当時話題にならなかったんだろう。はじめ劇作家としてファルスの名人とされ、ついで小説で名をあげつつ、治安判事にもなり、政治にもからんだ46年の太く短い人生を、著者の善悪両面を容赦なく描…

竹田出雲二代(最終回)

宝暦二年五月には新作「世話言漢楚軍談(せわことばかんそぐんだん)」を上演した。作者は、竹田外記を名のった出雲、冠子、半二、松洛、中村閨二である。この十月には、京都の北側芝居で、上方で最も人気のある女形となった中村富十郎が「百千鳥娘道成寺」…

竹田出雲二代(第六回)

延享五年(一七四八)七月十二日、桃園天皇の即位により寛延と改元され、その八月十四日から、竹本座で「仮名手本忠臣蔵」が幕を開けた。始めは大当たりというほどでもなく、その長さに辟易する客もあったようだが、次第に人気が上向いてきた。 だがその九月…