2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

G・K・チェスタトン 「求む、有能でないひと」アマゾンレビュー

よくも訳したもんだ星1つ - 2021/05/31こんなちんぷんかんぷんな本をよく訳したもんだと感心するほかない。カーライルの『衣服哲学』より少しは分かるという程度だ。「理想主義は実利の要素だけでものごとを考量する。火かき棒があれば、女房をたたくにはも…

「マー姉ちゃん」の話

NHKの朝の連続テレビ小説「マー姉ちゃん」が始まったのは1979年4月で、私が高校二年になる時だった。私は7時半には家を出ないと間に合わないから、あまり観られなかったが、夏休みには割と集中して観ていた。 九月になって登校すると、友人だったOが、昼休み…

北原白秋「かりうど」

こないだふと、小学校の音楽の時間に教科書に載っていて習った「かりうど」という歌を思い出して調べたら北原白秋の詩に成田為三が曲をつけたものだったが、ようつべにもないどころか、歌を収録したCDなどもないらしく、聞きたいので頭を抱えている。『白秋…

井上隆史「暴流の人 三島由紀夫」アマゾンレビュー

1点三島がノーベル賞などとれるわけがない本書は読売文学賞、やまなし文学賞の受賞作だが、そのことを踏まえると一点になる。著者は三島の作品を高く評価している。私は評価していない。それはいいが、著者は川端康成がノーベル賞を受賞したのが三島にとっ…

イェンセン「王の没落」アマゾンレビュー

王の没落 (岩波文庫 赤 746-1) 退屈だ星2つ - 、2021/05/25わりあい我慢して読んでいたが半分くらいで挫折した。王の話かと思ったらミッケルという名もない男の話が延々と続いていた。20世紀最高のデンマーク小説に選ばれたって、それはカーレン・ブリクセン…

佐久間文子の坪内祐三

佐久間文子が坪内祐三のことを書いた「ツボちゃん」を『新潮』を図書館で借りてきて読んだ。私が二人に会ったのは99年5月に池袋鬼子母神で唐十郎の芝居があった時なのだが、その時は二人が夫婦とは知らなかったが、前年の末にそれぞれの配偶者と別れて一緒に…

金子薫「双子は驢馬に跨がって」アマゾンレビュー

運のいい作家星1つ -、2021/05/22 野間文芸新人賞受賞作だが、かなりわけの分からない小説である。ある意味小説の体を成していない。父の名が「君子危うきに近寄らず」で息子の名が「君子」というところに、富樫義博の弟の漫画家が「富樫」であるみたいなバ…

大屋多詠子「馬琴と演劇」アマゾンレビュー

困ったことである星3つ - 評価者: 小谷野敦、2021/05/21著者は1976年生、東大文学博士、青山学院大教授の近世日本文学者。これは700ページを超える博士論文の大著で、演劇以外の馬琴の論文も入っている。しかし「弓張月」の刊行が択捉島襲撃と重なり海国意識…

伊藤亜紗「ヴァレリー 芸術と身体の哲学」 (講談社学術文庫) アマゾンレビュー

難解きわまりない星3つ - 評価者: 小谷野敦、2021/05/19ヴァレリーというのは分からない。加藤周一の『羊の歌』で一高生が横光利一に「「海辺の墓地」の風通しはいいですよ」と言うのからして分からない。この本を読んでもどんどん分からなくなる。だが博士…

音楽には物語がある(28)歌謡映画(1)中央公論2021年4月号

落語家の柳家喬太郎に「歌う井戸の茶碗」というネタがある。古典の人情落語「井戸の茶碗」を演じながら、自作、替え歌などの歌をわりと唐突に歌うもので、喬太郎自身、昔よくあった歌が入る映画をまねていると言い、「歌ふ狸御殿」をあげていた。登場人物が…

「伊豆の踊子」サイデンステッカー訳について

日本比較文学会東北支部編『問題としての「アメリカ」-比較文学・比較文化の視点から』(晃洋書房)という論文集が昨年8月に出た。学者の世界では、若い学者の業績づくりのためにこういう「論文集」が量産されている。 『比較文学』という学会誌が届いたので…

こういうアマゾンレビュー、困ります

本やDVDのアマゾンレビューで、品物の状態とか販売形態に文句を言って一点つける人は困りものだが、これはひどい。大城立裕『日の果てから』の一点レビュー。 kokoapoko 5つ星のうち1.0 あ~ 2017年10月18日に日本でレビュー済み 今回初めてAmazonで本を間違…

ネコジャラ市の11人 魔法の歌

人形劇「ネコジャラ市の11人」に出てくる魔法使いの歌は、 「マントのマ、ホントのホ、ウントのウ」で始まり、「マントホントウント、魔法」となるが、この「ウント」はドイツ語であろう。 二番目が「マシンガンのマ」で始まるが、あとを覚えていない。 三番…

英文科のころ

英文科にいた当時の、茫漠たる思い出である。洋風の広い飲酒所みたいなところで、英文科の同期の連中が集まっていたから、四年生になった1985年4月の、新三年生歓迎の二次会でもあったろうか。 私のそばに、ちょっと親しかったKというのがいて、もう一人誰だ…

私小説と霊界案内

勝又浩の『私小説千年史』は、私小説が日本独自のものだと強弁し、海外にもあるという私の論を無視したものなのでアマゾンで一点をつけておいたら、「papaneko」とかいう正体不明のやつが「和辻哲郎文化賞受賞の稀なる日本文学本質論」とかいう五点レビュー…