2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『モテないけれど生きてます』アマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち1.0 単なるフェミニズムの本です 2021年2月28日に日本でレビュー済み もてない男の当事者研究とか言いつつ、非モテ論壇の発端たる私の『もてない男』を完全に無視している。よく無視できるもんだなあと呆れるが、そのかわり上野千鶴子と…

田中優子を批判する

田中優子と松岡正剛の対談第二段『江戸問答』を、嫌だけれど読んでいたら、田中が批判されたという話が出てきて、「江戸が明るい」なんて一言も言っていない、と言っていたが、これは2000年に私と対談した時も言っていた。そのあと、師匠の広末保からも批判…

競輪上人と倍々賭け

小沢昭一主演の映画「競輪上人行状記」を観たら面白かったので、寺内大吉の原作「競輪上人随聞記」を探したら単行本が入手困難だったので、「小説中央公論」の初出を入手して読んだ。映画とはだいぶ違っていたが面白かった。 中で、倍々賭けの方法が書いてあ…

信岡朝子『「快楽としての動物保護』書評「週刊朝日」

ベストセラーになった『サピエンス全史』などのユヴァル・ノア・ハラリは、動物保護にも熱心なようだ。東大准教授の村上克尚の『動物の声、他者の声: 日本戦後文学の倫理』は藝術選奨新人賞を受賞した。「種差別」などという言葉も耳にして、どうやら最近で…

大岡信編『窪田空穂随筆集』岩波文庫のアマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち2.0 入っているわけ 2021年2月17日に日本でレビュー済み なぜこれが岩波文庫にはいっているかというと、編者の大岡信の父が空穂門下の歌人で、大岡信も若いころから空穂に親炙し、結婚の仲人を頼み、長男が生まれた時には空穂が「玲(あ…

小林標「ラテン語の世界」アマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち4.0 日本語についての記述で減点 2021年2月10日に日本でレビュー済み 以前この著者の「ローマ喜劇」を絶賛したことがある。こちらはより広いラテン語とラテン文化の話で、homo 斗umi が同語源だとか話は面白いのだが、最後のほうで日本…

誰も助けてはくれなかった

未だに、禁煙ファシズムは行き過ぎじゃないか、というような文章がマスコミの片隅に載ることがあるが、私はそういうのを書く気はもうない。 禁煙ファシズムとの戦いというのを15年近くやって、結局、誰も助けてはくれなかった。助けてくれたのは妻だけである…

こちとら作家貴族じゃねえ

前にも書いたが、1997年ころ「中国新聞」から書評を依頼されたことがある。文春の「女のこころとカラダ」シリーズの一で、長男がどうとか言う本だったが、実は依頼してきた記者が「中国新聞」に自分で連載したものだった。 私はそこそこ褒めた書評を書いたが…

寺尾の本名

「探偵!ナイトスクープ」の古い録画を観ていたら、小錦が佐ノ山親方として「顧問」で出ていたが、小錦が佐ノ山だったのはごく短期間で、断髪式のすぐあとだから98年6月だろう。最初のネタは天井裏に住み着いたムササビ六匹であった。 最後のネタが、宮崎県…

「おもいひでぽろぽろ」と「炉辺荘のアン」

高畑勲監督のアニメ映画「おもいひでぽろぽろ」のエンディングクレジットの最中、主人公は田舎から都会へ帰る汽車に載っているのだが、子供たちの幽霊みたいのがすいすい入ってきてヒロインを田舎へ帰す。この子供たちは、子供時代部分に出てくるヒロインの…

音楽には物語がある(25)ピンク・レディー(2)中央公論2020年12月号 

ピンク・レディーのデビュー曲「ペッパー警部」は、奇妙な曲だ。題名と内容がずれているし、日本でなんでペッパーなのか。曽根史郎の「若いお巡りさん」へのアンサーソングだともいわれるが、当時「刑事コロンボ」や「刑事コジャック」がはやっていたし、「…

前川一郎ほか「教養としての歴史問題」アマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち1.0 学問を捨てたイデオロギー本 2021年2月3日に日本でレビュー済み 本書の宣伝文には、もはやファクトチェックだけではだめだ、とあった。つまり事実の検証をきちんとしたら彼らのイデオロギー側が負けてしまうということだ。皮肉にも…