2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

漫画日本の歴史

中学生のころ、集英社の『漫画日本の歴史』(1968)を私は愛読していたのだが、最後の巻は当然現代史だった。ところが、ポツダム宣言受諾のところで、人々は「日本は負けたのだ」「そんなバカな」と言って嘆き悲しんでいる。当時の私は、みな戦争が終わって…

『聖母観音大菩薩』は、三鷹にいたころレンタル店にあったのだが観なかった。その後観たいと思ったがVHSは高値がついており、ヤフオクでもいつも一万円近く吊り上げられていた。先日またヤフオクに出ていたので、おっと思ったが、はっと気づいて見たら、…

メトロン星人の煙草 

最近雑誌でよく安冨歩という人が出てくる。「東大話法」とかいうので話題の人らしい。本人は経済学専攻で、東大東文研の教授である。まあこれはしかし、キャッチフレーズの問題で、普通は「官僚的な回答」とかいうのを「東大話法」と言い換えているだけだ。 …

石原慎太郎の『わが人生の時の人々』(文藝春秋、2001)は文春に連載されたものだが、中に、大江、江藤、開高といった同世代の文学者たちとの若いころを回想し、なぜ今は昔のようなポレミックが成り立たなくなったのかと書いている。要するに、本当に仲が良…

中四国地方?

チョコレート「LOOK」の季節限定版、西日本の果物、というのを買ってきたら、「九州沖縄代表・マンゴー」「中部地方代表・夏みかん」などと並んで「中四国代表」というのがあったのだが、どうやら「中国四国」のことらしい。そんな略語、誰が作ったのだ…

タクシー運転手

俵万智さんがタクシーの思い出を書いているのを見て思い出した。 大学時代の私がえらく世慣れない人間だったのは言うまでもない。確か三年生の時だが、アルバイト先の東大生ら数人とタクシーに乗ることがあり、一年上の理系の、大人びた先輩が、タクシーの運…

明日の幸福

「明日の幸福」はユーモア作家・映画原作者の中野実の昭和29年の戯曲で、藝術祭賞、毎日演劇脚本賞などを受賞している。新派の持ちネタで、筋は以下の通り。 http://www.shochiku.co.jp/shinpa/works/yaeko10/05.html しかし原戯曲には脇筋があり、寿敏は家…

演劇よ、さらば

若いころあんなに好きだった演劇だが、もうこのところ、芝居を観に行くと地獄のような目に遭う。蒼井優に目がくらんでつい買ってしまった「サド侯爵夫人」だが、実はその日が近づくにつれて嫌な予感でいっぱい。だいたい世田谷区は禁煙ファシズム北朝鮮みた…

「運命の人」は途中から観はじめたのだが、最終回を観ていてどうにも欺瞞的で耐えがたかった。 ・沖縄に米軍がいるのは「密約」とは直接の関係はない。 ・沖縄が米軍の犠牲になっているとしたら、憲法九条のせいである。それを追及しようとしない。 ・沖縄の…

「日本的独自性の神話」

私がたびたび論及しているピーター・デールの『日本的独自性の神話』は、今度ペーパーバック版が出るようだが、実は抄訳が『中央公論』1987年11月号に出ていた。今まで気づかなかったのは、一つにはサイニイに「日本独自性の神話」と間違って出ていたせいも…

痴人の愛

「痴人の愛」は何度も映画化されているが、木村恵吾は二度映画化していて、二度目の、安田道代、小沢昭一のものは、DVDにもなっているのだが、最初の、京マチ子、宇野重吉のものは、ヴィデオになったことはあるが入手困難、大学図書館でも、東京成徳短大…

国会図書館再び

国会図書館OPACは、思っていたよりひどいことになっている。「川」を題名に含んだ文学作品を探すべく、タイトルに「川」と入れ、分類記号を「913.6」として検索した。以前はそれで良かったのだ。ところが、「川」というタイトルのものを含む本しか出て…

野生の思考

レヴィ=ストロースは「現代思想」の中でもまともなほうの学者だが、『野生の思考』はどうもいただけない。あの本は、野生の思考は近代的科学的思考とは違う、と言っているようにも、基本的には同じだ、と言っているようにもとれるのである。トーテミズムそ…

ばあば

図書館へ行って、OPACで調べものをしていたら、後ろで、二人づれのおばさんらしき話し声が聞こえた。「発表会」とか「ばあばも呼んでるから」などと言い、子供に「ブースカ」と呼びかけていた。 私は「ばあば」などというのは、少女マンガか小説の中にし…

つけたり

竹西寛子の『管弦祭』を読んでいたら、「八月十五日は有紀子には八月六日のつけ足りでしかない」とあった。これは広島で原爆に遭った経験を描いたものである。しかしこの「つけ足り」は間違いで、「つけたり」ならいい。「つけ足し」のちょっとひねった表現…

榛葉英治の自伝『八十年現身の記』(1993)を読んでいたら、宮野澄が里見トンの伝記を書いている、とあった(113p)。しかし出なかったな。 - 96年のドラマ「協奏曲」(田村正和、木村拓哉、宮沢りえ)を初めて観た。尊敬している建築家の顔を知らないって…

金井先生のお元気をことほぐ

http://www.youtube.com/watch?v=OYf9PZmuXsM 金井美恵子先生が「立川談志」の悪口を言いながら、それを「たちかわだんし」と読み違えたり、落語と歌舞伎を混同したりしていて、まあ金井先生は落語や歌舞伎のことはほとんど知らないだろうなと思いつつ、それ…

山田さま

なぜ山田氏の立項だと思ったかといえば、写真が掲載されていたからです。なお誤字が多いようですが、落ち着いてお書きください。私は内容証明を出そうかと思ったのに、最初からそれはいかがかと思って簡易書留にしたのですし、現状で山田様を東京簡易裁判所…

器官なき身体

ニューアカの頃、「器官なき身体」ってのが何だか分からなかった。意味は分かるのだが(ないしは分かるような気がするのだが)、それが何なのか、つまり述語が分からなかったのである。唯一分かったのは、栗本慎一郎が、人間は器官なき身体を持ちたいと思っ…

わびしさ

十年ぶりくらいで大宅壮一文庫へ行ってきた。前に行ったのは三鷹在住の頃だから当然八幡山駅から歩いたが遠かった。今回は自宅から自転車で三十分ほどか。労力はあまり変わらない。晴れた土曜日だというのに利用者が少ない。あと、八幡山駅から大宅文庫へ行…

「雪の日やあれも他(ひと)の子樽拾ひ」 美濃加納城主・安藤対馬守信友、俳号・冠里の句(『続俳家奇人談』)阿部正路(あべ まさみち、1931年9月20日 − 2001年6月27日)は、国文学者、歌人。 秋田市出身。國學院大學卒。高崎正秀に師事し短歌をやる。國學…

くさい

1993年の一年間、佐伯順子先生は『太陽』に毎月演劇レビューを書いていた。まあ、当時非常勤講師だった私が、毎月十日になると書店へ行って、嫉妬に身もだえしながらそれを読んだわけだが、その中でだったか、別の雑誌だったか「くさい」「くささ」という表…