2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

折口信夫

アマゾンで松浦寿輝の文庫版『折口信夫論』を酷評したら教えられて穂積生萩『折口信夫 虚像と実像』(勉誠社、1996)を見たら、穂積、鈴木亨、米津千之の三人が延々と松浦の悪口を言っていておもしろかった。 安藤礼二という人はちゃんとした学者なのかどう…

フランドルの冬

品切れになってはいるが、加賀乙彦の『フランドルの冬』を読み始めて、ほどなく頭を抱えてしまった。いちおう、後の方へ行くと、「コバヤシ」という日本人の医師が中心になるらしいのだが、始めはほとんどフランス人ばかり出てくる。フランス小説の翻訳だと…

ストックホルム症候群の濫用

千葉県で母親を殺して次女を連れて逃げ回っていた男のニュースを見ていたら、お茶大の戒能民江が出てきて、「怖くて逃げられなかったのでしょう」とか言っていたが、当人に会ったわけでも、精神科医でもないのにいい加減なことを。 この戒能というのは、十年…

「牽引」その後

さて、木村荘太と伊藤野枝が恋愛事件を起こした翌年一月、野枝は長男辻一(まこと)を出産している。つまり木村とやりとりしていた時には妊娠三カ月くらいだったわけだ。この辻まことが、池内紀が『見知らぬオトカム』に描いた人物である。 木村は『魔の宴』…

なんだこの雨は!

ほとんど天変地異のように降っている。こういう時に葬儀や結婚式のある人は堪ったものじゃないだろう。 出島が引退した。玉突き引退で、出島が大鳴戸に、大鳴戸だった武雄山は関ノ戸に、関ノ戸だった除エ司は小野川に、そして小野川だった潮丸は定年になった…

18歳なら良かったんかいアグネス!

『週刊SPA!』が「児童ポルノバカ発言」とかいう特集だったのでちょっと覗いた。アグネス・チャンが出ていたが、妙に記事がアグネスに甘いのは、そうでないと取材に応じてもらえないからだろうが、17歳の時水着写真を撮られて嫌だったと言うアグネスの気持…

美しきキリカ

もう20年も前、ちょうど留学前に、ふとテレビをつけたらやっていた『高速戦隊ターボレンジャー』の「美しきキリカ」の回を見て、キリカ役の森下雅子の美しさに唖然とし、いつかターボレンジャーのDVDが出ないかと待っている。http://www.models.co.jp/wom…

辻山栄子の謎

http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/mackychan/diary/d342http://www.jttk.zaq.ne.jp/baags702/monologue035.html このいずれにも、辻山栄子という会計学者が登場している。今は早稲田の教授らしい。 さて、この「脅迫」については、柳美里自身が、一審判決…

『比較文学比較文化研究室通信』というのが届いて、平川先生の『アーサー・ウェイリー』出版記念会の様子がレポートされていたのだが、驚いたのが中村和恵のスピーチで「自宅の前に、平川先生に似ている郵便配達者が来たと思ったらご本人だった、という、愛…

岡崎高校

川村湊先生が『1Q84』について『新刊ニュース』に書いておられる文章が、他のものと違っておもしろい。まず、これを外国語訳する時題名はどうするのか、と。なるほど。9とQが同じなのは日本語だけだ(いやどこかに一致する言語はあるかもしれないが)…

遅いんだよ直木賞

北村薫さんがようやく直木賞を受賞した。59歳。鴻上尚史が岸田戯曲賞を受賞した時のように「遅いんだよ!」と言ってやりたい。 先日鎌倉で、初めてお目にかかったが、手紙のやりとりはそれ以前からである。受賞作『鷺と雪』は、推理もの仕立てなのは世を忍ぶ…

どうでもいい話

野口雨情の「赤い靴」は、本当はからゆきさんとして売られていったのだ、という話は聞いたことがあった。横浜の山下公園には、それとは関係なく、虚構的存在として銅像が建っている。 ところが最近では、これにはキミちゃんというモデルになった女の子がいて…

まれに見るバカ女

http://d.hatena.ne.jp/hebakudan/20090713/1247487179 お安いご用である。 最近は、本を丸ごと読むということはあまりない。本は必要なところだけ見る。 - [佐伯順子][笙野頼子] 笙野頼子『徹底抗戦! 文士の森』40pに、『まれに見るバカ女』はその後、抗…

中上健次の錯乱

『新日本文学』という、ほとんど目立たないけれど地道に左翼言説を産出し続けている雑誌がある。その1989年5月号には、黒古一夫の「<路地>の迷走‐中上健次の錯乱」というのが載っている。村上春樹、村上龍などを論じつつ、中上を論じることのない黒古の、…

猫猫塾前期終り

今日で前期が終りである。東大を雇い止めになって、家にこもって書いているだけでは精神衛生上良くないということ(と小遣い稼ぎ)で始めた塾で、いろいろ大変なこともあったが、妻が万事やってくれたので助かった。 - アマゾンのレビューで、私が低い点をつ…

リダイヤル

『妻はストーカーに殺された』という本がある。福岡のほうで、1997年10月28日、大学生が家に押し入り、著者の妻と母に包丁で切り付け、二人とも死に、しかし心神喪失状態だったため不起訴となった事件の、遺族が書いたものである。私はこの本を、書店か図書…

文学テスト

また枡野さんが当てそうだな。 むかし、某中間小説誌の新人賞を同時に受賞した二人の女性作家で、知名度は今ひとつで直木賞候補になったこともないけれど、細々ながら作家活動を続けている(片方はちょっと怪しい)のは? 枡野さんは降参だそうです。 - これ…

江藤淳の落第

ウィキペディアの江藤淳の項に、江藤が東大に落ちて慶応に行ったのは、慶子夫人が慶応にいたからじゃないかと安岡章太郎が言ったら江藤が否定した、とあって、典拠が分からなかったのだが、昨日ふと見たら安岡『驢馬の学校』とあったので、図書館で見てきた…

有吉佐和子と純文学

有吉佐和子が「不遇」だったことはよく知られている。人気作家、ベストセラー作家でありながら、純文学の世界での評価は低く、かといって瀬戸内晴美や曽野綾子のように、大衆作家として居直ることもなく、常に純文学に憧れつづけた。 最近、岩波文庫に有吉作…

川勝平太と土居健郎

川勝平太が静岡県知事に当選したのには驚いた。何しろ新聞をとっていないから、立候補していたことも知らなかった。 しかしまあ、「新しい歴史教科書をつくる会」に入ったり、静岡文化藝術大学の学長に転じたりと、野心家、学究というよりは政治家という印象…

ハナニムとハヌニム

『比較文学研究』に載った鄭百秀の『コロニアリズムの超克』の三ツ野君による書評で、今では韓国でも自国のナショナリズムを批判してもいいのだ、とあったので、疑問を感じて李建志君に訊いてみたら、 「韓国では自民族中心主義は、いちおう「批判しなければ…

湾岸戦争の時の

「文学者の反戦声明」というのがあったが、あれの署名者リストがネット上にないようなので、ここに資料として掲げておくことにする。 声明は二つに分かれていて、 声明1 私は日本国家が戦争に加担することに反対します。 声明2 戦後日本の憲法には、「戦争…

いいかげんにしてよアグネス

斎藤孝とかに眼をとられて、渡部昇一先生がものすごい量の本を出しているのに気付かずにいた。半分くらいは対談本なのだが、あのバリバリ右翼の渡部先生と、木田元とか林望とか白川静とかが出しているのが意外。 - おとといあたりのニュースで、宮沢りえのヌ…