2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「赤」など

図書館で『英語青年』を見て、比較文学の先輩に当たる仙北谷晃一氏が昨年亡くなっていたのを知った。一度くらいお姿を見たことがあるはず。 井上章一『狂気と王権』講談社学術文庫の文庫あとがきを面白く立ち読みした。これを連載していた頃、日文研に天皇が…

金井美恵子先生に頑張ってほしい

金井美恵子先生が、このところ元気がない。『一冊の本』の連載で、目の具合が悪くなった報告と休載に続いて、今月も、最後は「上野千鶴子の言うような夢と希望に溢れたのとはまるで違う老後が控えており、年はとっても長生きはしたくない」などと書いている…

長谷川三千子先生について

私は実はこの半月ほど、困っている。というのは、長谷川三千子先生から新著をいただいたからである。実は長谷川先生は、「『細雪』とやまとごころ」などを含んだ『からごころ』を読んで感動し、『民主主義とは何なのか』や『正義の喪失』も読んでいる。それ…

塾で教わっているんです

城山三郎先生には『素直な戦士たち』という長編があって、受験戦争と教育ママを描いたもので、私が高校生の頃ドラマ化されたのだが、あの当時、やたらと受験戦争の弊害が言われており、それでゆとり教育なんてものが始まったのだが、考えてみれば、いくら学…

読まなくていい本

何かを「論じる」本というのがある。そういう本で、最初の五分の一くらいを読むと、もうほとんどその本の言いたいことは分かってしまって、あとは読む必要はない、というものがある。 たとえば『オルレアンのうわさ』などというのもその一つで、私は、買って…

どうした、何を騒ぐ

宮崎哲弥氏が「週刊文春」で、昨年の殺人事件が戦後最低だったのをなぜマスコミは報道しないかと熱く語っていたが、これは宮下(管賀江留郎)の受け売り。 受け売りでもいいのだが、いったいではどのように件数が下がって行ったのかということが気になる。毎…

豆知識その他

「一口坂」と書いて「いもあらいざか」と読む。ひとくちざか、と読む人が多いので、最近では「芋洗坂」と書くらしい。 「新銀町」は「しんしろがねちょう」、「本石町」は「ほんこくちょう」。 勝目梓の自伝的小説『小説家』は、出たのは確か一昨年だったが…

大河ドラマの音楽

しかし「篤姫」はひどいなあ。菊本が自害するのは、原作では、将軍家へ入る見込みと聞いたからである。だいたい、徳川時代の身分制というものがまったく視聴者に伝わらない。それからもう昔からのことだが、島津斉彬と阿部正弘と徳川斉昭が「阿部殿」だの「…

病弱な学問

こないだどこかで「窃視の欲望」がどうとかいう論文を見て、げえまたかと思った。美術とか都市論とかジェンダー論とかで、この文字を見るだけで、まだやっているのかとうんざりする。十年一日の如しで、なんでこう誰も彼も同じことを言うのだろう。二言目に…

歴史に学ぶ

第二次大戦で、枢軸国側につくかと思われたイスパニアの独裁者・フランコは、英国のチャーチルを評価していて、黄色人種の国を打ち破ったと言って称賛した。 ルディ・カウスブルックによると、インドネシア独立のきっかけを作った日本人を「黄色人種の分際で…

長山靖生さまへ

長山靖生氏が新刊『貧乏するにも程がある』(光文社新書)で、おおけなくも私の小説に触れて下さっている。 (活字化のため削除) どうも、この人は文学と倫理の関係についてちゃんと考えたことがあるのだろうか。ほかにも、たとえば96pに「作家の自殺率は高…

麒麟麦酒の社長

成人年齢の18歳引き下げに対する賛否両論があるそうだ。しかし昨日の毎日新聞で、キリンビール社長の三宅占二が、18歳での飲酒は体によくないとコメントしていたのには、驚き呆れた。大学生が18歳で飲酒していることは公然たる事実である。あるいは高卒で就…

ヒラリーはダメらしい

だいたいあの、目を剥いた写真が決定的ダメージだったと思うのだが、オバマ陣営で意図的に大量流布させたんじゃないか。しかしこれだけ熾烈にやったって単に民主党の候補を決めるだけ。だいたい本選挙での州丸取り制度もおかしいし、まあ二大政党制といって…

山内昌之

(活字化のため削除) - 雨の中、書店へ立ち寄ったら、大久保喬樹の『日本文化論の名著入門』という本を見つけて、ぎょっとした。この人は数年前にも中公新書で『日本文化論の系譜』というのを出している。 言っておくが、ここで取り上げられている「日本文…

「篤姫」雑感

そろそろ書かねばいけないのだが(え? そんなことはない?) まあちょっと宮崎あおいは、天璋院という感じではない。あの子が好きなのはロリコンでしかないだろう。 高橋英樹は、『翔ぶが如く』では島津久光役、斉彬は加山雄三で、これがすばらしく、なるほ…

小林秀雄を褒めないといけないのか

橋本治が、小林秀雄賞をとってから『小林秀雄の恵み』を出したが、やはり茂木健一郎の受賞作も小林を礼讃している。 三島由紀夫賞ができた時、左翼っぽい人が「名前がよくない」と言っていたので、いや、賞の人名は特に関係ないから、と言ったことがある。直…

児童ポルノ規正法改悪に反対する

死刑問題では毅然とした態度を表明したので評価していた鳩山邦夫法相が、児童ポルノを単純所持だけで処罰するなどというとんでもないことを言い出した。 私は、AVやポルノでも、暴力的なもの、性的暴力を肯定するものに関しては、批判的立場をとるが、それ…

貴乃花〜

貴乃花が相撲協会の役員待遇になった。喜ばしい。ぜひ二年後には理事、四十二くらいで理事長になってほしい。 貴乃花が兄若乃花を批判し始めた頃、世間は若乃花を「お兄ちゃん」などと呼んで、何やらあの西田敏行系の笑顔にだまくらかされていたから、マスコ…

怒り炸裂

岩下尚史の『藝者論』が和辻哲郎文化賞を受賞したと知って怒り炸裂である。『遊女の文化史』と大同小異の駄本である。ああ関西ではやはり山折とか梅原とか、こういうのを評価するのかと歎息。和辻賞は、学術部門はいいのだが、一般部門は時々変な本に授賞す…

城山三郎先生について

城山三郎の遺稿『そうか、もう君はいないのか』は、夫人の1999年の死去を描いたものとされているが、事実上の城山自伝であり、未定稿をまとめたものだが、巻末に付された娘さんの手記を読むと、夫人死後の城山が半ば余生を生きているような状態だったことが…

エノケンと野田秀樹

エノケンこと榎本健一の「孫悟空」という映画を昔観て、つまらなかったことがある。というか、いったいエノケンのどこがそんなに凄いのか分からなかった。面白くなかった。とはいえ、これは所詮映画だし、きっと生の舞台で観ると、何か特別なオーラがあった…

白系ロシヤ人

前にどこかに書いたように思うのだが、某東大院生が、白系ロシヤ人というのは人種だと思っていた。存外こういう人は多い。「白ロシア人」とか「ベラルーシ人」とか言う。あのですね、白系ロシヤ人というのは、ロシヤ革命で国外へ亡命した人々のこと。 まあ、…

やっぱりこいつが来たか

今日の毎日新聞夕刊で中島岳志と対談しているのは片山杜秀。やっぱりこいつが来たか、という気がしている。恐らく中島は、戦争は絶対いかんが天皇はよろしいという戦後民主主義者だろうと睨んでいたからで、ただその内容たるや、例によって妙に抽象的かつ俯…