2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ツァーリ的なもの

「天皇をなくしても天皇制的なものが」式でいえば、それを如実に体現しているのが、ロシヤの「ツァーリ的なもの」だろう。実際、ツァーリを殺害しても、スターリン以後、共産党書記長などを頂点とする体制は復活したわけだし、今ではプーチンがツァーリだ。…

安全、安心なやり方

組閣のニュースを見ていたら、天野祐吉が出てきて、例によってテキトーに悪口言って、ダメな大臣にはノーと言わなきゃなどと言っていた。議院内閣制なんだから、大臣へのリコール制度なんてないのだよ。自民党が嫌いなら、その自民党を第一党に選び続けてい…

厄病神?

西村寿行が死んだ。数年前、西村の『大厄病神』という文庫を書店で見つけてぎょっとしたものだが、今年になって赤川次郎も「厄病神」を題名に入れた小説を出している。正しくは、 疫病神(やくびょうがみ) である。「やく」という読みから逆に「厄」を想像…

トゥヴァルについて

地球温暖化で水没の危機にさらされる南太平洋の国トゥヴァル。しかし、土地はすべて珊瑚礁だというこの島々は、中世にも存在したのだろうか。地球温暖化論を批判する薬師院仁志氏によれば、もしトゥヴァルが沈むとしたら、中世において存在しなかったからだ…

森まゆみ、よし

小林君が言っていた、上野千鶴子に関する記事を探していたら、上野の新刊『おひとりさまの老後』の、森まゆみによる書評を見つけた。最初三分の二くらいは、適当に褒めてある。その後、 不満もなくはない。「各種パートナーの在庫くらい、用途別にいろいろ抱…

岩井茂樹氏著について

日文研から、岩井茂樹『恋歌の歴史』という大胆な題名の冊子が送られてきた。分量的には一冊の本である。日文研叢書の一で、岩井氏の本は既に『恋と茶道の関係史』を持っている。岩井氏は総合研究大学院(総研大、日文研に附属する大学院)で「歌道と茶道に…

勘太夫の引退

朝青龍、引退の危機で角界は大騒動、また元横綱琴桜の死去とニュースが続く中、三役格行司の式守勘太夫が、17日、65歳の誕生日を迎え、ひっそりと引退した。 昭和30年6月、今から52年前に13歳で伊勢ヶ浜部屋に入門、当時の親方は横綱の照国、先代の大関清国…

「がん具」はやめい

ニュースに、「中国製のがん具」がどうしたとか書いてあった。むかむかした。「玩具」でいいではないか。画数が多いわけじゃないし。 だいいち、岸本葉子さんは、がん宣告されてしばらく、「がん」の字を目にするだけでどきりとして不安になったという。「が…

「監修」の真実

本に「だれそれ監修」と書いてあることがありますね。だれそれは、たいてい大物です。「監訳」というのもあります。これは「何もしていない。名前を貸しただけ」という意味です。 たとえばサイードの『オリエンタリズム』は、板垣雄三・杉田英明監訳、今沢紀…

バタイユ入門

『先生とわたし』で四方田さんが蓮實先生から「君もMくんやSくんのようにフランスへ留学するんだと思っていました。韓国には映画があるんですか」と言われる場面で、Mくんは松浦寿輝だがSくんは誰か、と言われていたが、あれは酒井健です。 ええ、『バタ…

芥川賞選評

コンビニで『文藝春秋』を立ち読み、芥川賞の選評を見る。受賞作をまったく評価していなかったのが、石原慎太郎と村上龍。前回の受賞作を推した二人である。最近、この二人、意見があう。私も、石原とは、芥川賞に関しては、前々から同意見であることがほと…

バカの巣窟・教えて!goo

教えて!gooがバカの巣窟だというのは周知の事実だが、先日、回答者もバカという例に出くわした。コピペはまずいだろうから、記憶で書く。 「以下の本をどうしても入手したいのです。図書館に問い合わせていますが、僕の人生がかかっています」 といって挙げ…

知的レベルの劣化?

週刊朝日に、四方田さんの「先生とわたし」の長薗安浩による書評が載っていた。いやあ各紙誌絶賛、これなら小林秀雄賞もとれる! 長薗は最後に、今でもこういう師弟関係は成り立つのだろうか、それとも学生の知的レベルの劣化でそれもならないのか、と書いて…

天皇制的なもの

天皇制そのものをなくしても、日本人には天皇制的な心性が残るとか、そういうことを言う人がいる。しかし、そんなものが学問的に、たとえ擬似科学的にでも証明されたことはない。 たとえば「水戸黄門」が天皇制的だという説は、同じような話型が世界中にある…

われめちゃんの始まり

北沢杏子という市民運動家が、1972年に出した性教育の絵本で「われめちゃん」という言葉を初めて使った。その後北沢が出した北欧旅行の記は『白夜のエロスたちーわれめちゃん北欧を行く』という。当時、北沢自身が「われめちゃん」とか「ミス・ワレメ」とか…

ヴィエトナム人名の謎

前にも書いたのだが、奇妙なことに、誰も答えてくれなかった。ヴィエトナムの人名である。現在の国家主席はグエン・ミン・チェット、首相はグエン・タン・ズン、共産党書記長はノン・ドク・マインだ。この「グエン」というのは、ヴィエトナム史を知っていれ…

翻訳もあまり厳格には

井上健先生の『翻訳街裏通り』を読んだら、面白かった。「わが青春のB級翻訳」と副題がついている。名前を隠して、ダメな翻訳の例が出てきたり、東大の先生のゴシップが綴られていて、井上さんもなかなか意地悪だなあと思わせる。前に聞いていたが、呉智英さ…