2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

近衛秀麿余聞

大野芳の『近衛秀麿』(講談社)を走り読みしている。 昭和初年、秀麿の側近となる中川牧三なる男が、京都の東山ダンスホールに入り浸っていると、和服を着た谷崎潤一郎がよく来てかわいがられた、とあるのは、なお存命(104歳)の中川の話だ。昭和初年の谷…

杉並区長に山田宏が再選された。なんか悔しい。 選挙期間中、杉並区内の某駅前で、人もまばらなところで喫煙していて警官に注意され、例によって口論したあげく、別の某駅前で演説をしている山田を見つけ、最近の自転車取締で、一、二分銀行やコンビニの前に…

大衆文藝評判記2007

平岡敏夫先生が昨年から怒っておられる。日本近代文学研究の泰斗といっても、過言ではない方だ。怒っているのは小林信彦の「うらなり」である。平岡先生はかねてから、「坊っちゃん」は佐幕派の物語だと主張している。これは、異論のないところだろう。江戸…

岸田国士戯曲賞のすべて

「暖流」ドラマ化記念。遡及的に候補作と選考委員を入力していく予定。*第1回(1955) 該当作なし 『壁画』(佳作) 矢代静一(1998没) *第2回(1956)『楠三吉の青春』大橋喜一 『畸形児』小幡欣治* *第3回(1957) 該当作なし 『明日を紡ぐ娘たち』(…

「を」と「お」は同じ発音である

「を」は「うぉ」と発音するのだと思っている日本人は多い。しかし、あれは「お」と同じ発音なのである。外国人が書いた日本語の研究書を見れば、例文などで「o」となっている。 もっとも歌謡曲などで「亜麻色の長い髪うぉ」とやっているが、実は間違い。−−−…

堕右翼本発見

『朝日新聞のトンデモ読者投稿』という本を見つけた。どうせ右翼本で、見なくても中身は分かっている。しかしちょっと時間があいたので、書店で中を見てみた。 朝日新聞のトンデモ投稿では、禁煙ファシストによるものを随分私も指弾したが、この本、見事にそ…

池内友次郎の晩年

最近、『人事興信録』を見ることが多い。といっても、好きな女性の父親を探しているのではない。池澤夏樹のところを見ていたら、ふと、東大名誉教授・池上嘉彦先生の項目が目についた。妻××、長男××とあって、夫人が二十歳年下で、東大教養学部卒、東大非常…

「フィガロの結婚」のつづき

モーツァルトのオペラで名高い、ボーマルシェの「フィガロの結婚」は、ロッシーニのオペラで知られる「セヴィラの理髪師」の続きだが、実はさらに続きがあって、「罪ある母」(La mere coupable)というのだが、ここでは驚くべきことに、伯爵夫人はケルビーノ…

弁明

渡辺千萬子さんから『落花流水−−谷崎潤一郎と祖父関雪の思い出』(岩波書店)が届いた。お礼状は千萬子さんに書いたが、中に、私が千萬子さんにお目にかかったときのことが書いてある。二〇〇五年九月十九日のことだ。「谷崎についてはそれ程詳しく話した覚…

露伴と伝書鳩

塩谷賛の『幸田露伴』を読んでいる。塩谷は「しおたに」と読み、本名土橋利彦、露伴の助手を務め、幸田文全集を編纂、四十過ぎて失明し、五年かけてこの大著を完成させ、読売文学賞を受賞した。1977年没。筆名であるから、漢字学者の塩谷(しおのや)温とは…

広瀬さんのこと

『広瀬雅弘著作集』一巻が刊行された。私家版だが箱入りの本である。 広瀬さんは阪大時代の先輩同僚で、いちばん信頼していた人だ。2004年春、脳腫瘍で52歳で亡くなってしまった。阪大を辞めてからもつきあいは続いていたが、その二年ほど前から、目がかすむ…

「初世」のふしぎ

「八世松本幸四郎」のように言うのはおかしいという話を追及している。この方式だと、初代は「初世」などと呼ばれるが、『日本国語大辞典』で「初世」を引いたら「「初代」に同じ」とあり、用例として矢田挿雲『江戸から東京へ』から、「徳川初世の頃は此辺…

白川なにがし

白川静の『字通』が近所の図書館になかったので、他館からの取り寄せを頼むため電話して「白川静の字通」と言ったら「その白川なにがしの」と言われた。「字通」も説明しないと分からなかった。白川なにがし・・・・。文化勲章授章、ようやく嫉妬ややっかみ…

助教授→准教授

つい先日まで知らなかったのだが、四月から全国的に助教授が准教授になった。まるで意味が分からない。 http://www.waseda.jp/jp/journal/pdf/0608_02.pdf 文部科学省の説明では、「助」というのが教授を助けるという意味なので、不適切であり世界的にも例が…

ていみこさん?

朝日新聞をとっていた時、いろいろなだしものへの招待券が抽選で当たる用紙をくれていた。私はいつも歌舞伎座の切符に申し込んでいたのだが、二人分とるのに、二枚の往復はがきに相手方の名を書いて出すので、ある時、二枚とも自分の住所を書いて、相手方の…