「持ち給金」と相撲協会

今度の相撲の本に「持ち給金」のことを書いた。力士一人一人が持っていて、勝ち越し、金星などによって加算される給料のことだが、私は高校時代から、これが幕下以下に対しても支給されるのかが分からなかった。もちろん相撲の本に書いてあるが、そこが微妙にぼかされているのだ。そこで今度の本では、幕下以下でも支給されるというふうに書いた。

 するとツイッターで、幕下以下では加算はされるが支給はされないと指摘された。ウィキペディアを見ると、加算はともかく幕下以下無支給とは書いてあった。だが典拠がない。そこで相撲協会に電話して聞いてみたら、窓口の人から「お答えできません」と言われた。いったいなぜそんなことが答えられないのか。

 栃赤城のように、大関候補だった力士が幕下以下へ陥落して、戻ることなく引退(廃業)することもあるが、そうなると持ち給金は全部チャラになるのか・・・。これはいまだ謎である。むろん、そんなことを秘密にしておく相撲協会であってほしくはない。

小谷野敦