小説の書き方

 松岡圭祐という作家の「小説家で億を稼ごう」とかいう新潮新書を途中まで読んで、この人はどういう小説を書いて億稼いでいるのだろうと思い、処女作の『催眠』というのを読んでみたら、売れるわけは分かったが、新書に書いてあった小説の書き方のうち欠点がそのまま反映されていた。というのは、松岡はキャスティングから発想し、登場人物を演じさせたい芸能人六人の写真を壁に貼りそのプロフィールを考えて筋を考えろ、また脇役として五人付け加えておけというのだが、「催眠」には、余計な人物と余計な脇筋があったからである。しかし刊行する前にそこは削除すればよかったので、処女作だから捨てがたいものがあったのかな、と思った