論文作品主義

 学問においては、どのような事実を明らかにしたか、証明したかということが重要なので、それさえ書いてあれば論文は一ページでもいいのである。

 だが特に文学研究の世界では、論文を「作品」のようにとらえる風潮が多く、実際には二、三ページも書けばすむものを、尾ひれ葉ひれをつけて60枚の論文にするのが美しくよいことだと考える人もいて、上の人がそういう考えだから若い人も追従してそういう論文を書く。あまり科学としての学問においてこういう考え方はいけないと思うことがある。