落選小説「薬子」

 『男であることの困難』(1997)を出した時の新聞インタビューでは私はタバコを持っているが、あれは新聞社と私に抗議文をよこした人がいた。60くらいの男性だった。学生が真似したらどうするんだと。

 当時私は大学そばの古書店の店主夫人が美人だったので毎日のように行っていたが、この記事が出たあと、読んでくれたかなと思いつつ行ったらその夫人が出てきて、切り取ってある、来たら読もうと思って、と言ったからぎょっとした。あれはそう明るいことが書いてあるものではないからである。

 そのインタビューに、2001年、強い女と弱い男を描いて小説家デビューなどと将来予想があるが、あれはその当時書いていた藤原薬子の小説で、松本清張賞に短篇として出したが落選した。