映画「ドリトル先生不思議な旅」について

 うちでは夫婦して映画「ドリトル先生不思議な旅」(リチャード・フライシャー監督)のファンである。しかし私はもっぱら、NHKで放送されていた宝田明が吹替したもののファンである。原典ではレックス・ハリソンは歌のところではほとんど歌っていないのだが、宝田はちゃんと歌っている。

そして私はNHK吹替版を録画しておいたのだが、2007年に掛けようとしたらブチっとテープが切れてしまった。修理に出せばよかったのに、市販されているDVDに同じものが入っていると思い込んで捨ててしまったのは痛恨の極みである。

だが1977年に放送された際、吹替の音楽部分を録音しておいたのが残っていたため最近you tube にあげておいた。

ところでサーカス団にいたアザラシのソフィーが、北極海にいる夫を恋しがって病気になっているので、ドリトル先生が海へ帰すところは、原作『ドリトル先生のサーカス』にあるのだが、途中で、宿屋へ入っていった中年の男女二人組の女のほうの服をドリトル先生が盗んでソフィーに着せるところがある。これは原作にない。ソフィーを海へ放り込んだところを見られ、殺人の罪でドリトル先生は裁判にかけられるが、服を盗まれた女性はわけあって先生を訴えない、というところがある。どうやらこの二人、不倫カップルだったので訴えられなかった、ということを妻が発見した。

さらにこの映画のヒロインのエマ(サマンサ・エッガー)は、はじめ肉売りのマシューといい雰囲気で、マシューはエマと恋をささやいたあと有頂天になって歌い踊るのだが、船で出航して島へたどり着いたところで、エマの恋の相手はなんとドリトル先生になっているのだ。

これは考えてみたら、67年の映画だから、同じレックス・ハリソンが主演した「マイ・フェア・レディ」(63)で若いフレディ(ジェレミー・ブレット、のちのシャーロック・ホームズ)が踊り狂うのにヘップバーンはハリソンにとられてしまうののパロディなんだろう。