古い日記

2005年11月の
このところ碌な目にあわない。週刊誌へのコメントは二つ没になるし、鼎談は変だったし。今朝は古書店から送ってきた本の宛名が「小野寺敦」。こないだの毎日新聞の記者三角真理が送ってきた原稿は、こんな。

 東京・杉並の小さな喫茶店にママチャリをこいで来られた小谷野さん。
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 店の一番隅の席で、ショッピングバッグを放り出したまま語り続ける小谷野さん。
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吸い殻のたばこに再び火をつけて一息つく。
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服を買ってもてるようになった男って僕知りませんよ
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 「恋愛小説や恋愛映画を見たらどうでしょう。そういうもの見れば、女性と話をしたとき、何か持ち出せる話題があるでしょ。…… これぐらいしか思い浮かばない。これでもてるようになるとも思ってないけどね」。女だって一緒だろう。
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 もう取材の時から悪意むきだしだった。「LEON」など持ってきて、そういう努力をするつもりはなくて、でも女性には要求するんですね、などと言い「別にブランド物の好きな女性になんか興味ありませんから」と言ったらつまらなそうだった。
 「ママチャリ」とは何か。普通の自転車である。「放り出した」って何か。置くのとどう違うのか。「吸い殻のたばこ」とは何か。途中で消してまたつけているだけで、節煙である。私は自分のことを「僕」とは言わないと、何度言えば分かるのか。「女だって一緒だろう」とはお前の意見のようだが、別に女だって同じだと本の中で書いているではないか。
 すぐに電話を掛けて、久しぶりに人を怒鳴りつけた。ショッピングバッグの件については「無造作な感じを出そうとして」などと言うから、じゃあどうしておけば無造作ではないのか、畳んで膝の上に置けとでもいうのか。全部書き直させた。碌に私の本を読もうともせず、大新聞記者の権力さえ自覚しないバカ記者めが。死んでしまえ。