一泊で京都へ行ってきたのだがわりとひどい目に遭った。はじめ京阪で橋本まで行って『芦刈』の舞台を南側から見たのだが、私は一月前に入手したエヴァンゲリオンスマホを持っていて、ところがこれがネットにつながる設定をしていなかったことがあとで分かり、妻はそれから芦屋の谷崎記念館へ行って、私は京都駅前のホテルへ行こうとしたのだが、メールを見ればいいと思っていたのでホテル名が思い出せず、アパホテルというのへ行って予約はないか訊いたらない。とうとう妻に電話して訊いたらリブマックスというのだと分かりそこへ行くと、妙にごてごてした下等ホテルで、「和室」とあったが何のことはない、新婚夫婦が入るマンションみたいなところで、たぶんウィークリーマンションである。電子レンジはあるが壊れていて、ポットも蓋が閉まらない。暑い日で歩いてきたから茶が呑みたいのにティーバッグもなくてスティックの梅こぶ茶があるだけ。半泣きになりながら水を入れ、蓋を半開きにしたままにして沸かし、蒲団を敷いて寝た。
 夜になって先斗町の入り口で妻と落ち合う。ところが桜の季節だからかやたら外国人やら新入生の大学生やらでごった返している。しかも関西はゆるいと聞いていたのにいたるところ禁煙で、めざしていた店が禁煙で、「タバコは吸えますか」と訊くとおじさんが、「タバコはそこで」と入口のところを指さすから、中では吸えないのだ。ところがこの図々しいおじさんは、意に介さず中へどうぞ、などと言うから、外へ出る。
 するうち、けっこうすいている店があり、お姉さんに訊くと喫煙席があると言うからそこで食べたが、とにかくお茶がうまくて三杯もおかわりした。食い物もうまかった。
 外へ出たがあいかわらずごった返している。ホテルでお茶を呑みたいからティーバッグを買おうと近くのコンビニに寄ったが、ない。ありそうなところにない。仕方なくペットボトルの冷たい茶を買ってタクシーでホテルへ。
 妻もホテルのありさまに呆れていて、蓋の閉まらないポットの湯はほぼ蒸発しており、梅こぶ茶を仕方ないので呑もうとしたが、妻はマグカップでポットの底にある湯をすくって入れていた。
 翌日は突然の豪雨である。法然院の谷崎の墓などへ行くつもりでいたがなしになり、十時を過ぎたからチェックアウトした。妻は駅の展覧会か何かへ行くと言うが私は興味がない。喫煙可の喫茶店へ入って一時間ほどつぶす。新幹線は午後四時近くである。別行動をとることにして、私はデラックス東寺へ行こうとした。とはいえ「素人大会」で、これは面白くないので気が進まずに歩いていき、たどりつくと、外に灰皿が立っていたから、これは内部禁煙だなと思って引返し、駅へ向かう途中に喫煙室のあるミスドがあったからそこで時間をつぶしたが、喫煙室は満員で、あとから来た人があきらめて帰ったりしていた。そりゃそうで、こうもあちこち全面禁煙にしたらそうなる。