「コチコイ」の謎

 アガサ・クリスティの『エッジウェア卿の死』(福島正実訳、ハヤカワ文庫)に、こんな一節がある。
 「彼は恥ずかしがり屋なのよーーコチコイで、うまを合わせていくことの難しい人だけど」
 「コチコイ」
 なんだこれは。そこで蕗沢忠枝訳『エッジウェア卿殺人事件』(新潮文庫)で当該箇所を見ると、
 「あの方は、はにかみやだと思いますわ。ぎごちなくて、少しおつき合いしにくい方ね」
 とある。「ぎごちない」を「コチコイ」と言うのか。「コチコチ」の誤植? どこかの方言?