『出版ニュース』12月下旬号で佐久間文子が、20年ほど前に朝日新聞で作家と読書好きの女性芸能人の対談を企画したら評判がよく、喜んでいたら、一人「これから書評はこんなのばっかりになるよ」と言った人がいて、むっとしたが、実際そうなってしまった、と反省ぎみに書いている。
 それはその通りなのだが、そのあと、芸能人を書評に起用すると、褒めることしかしないので、書評は褒め書評ばかりになってしまった、と書いているのはいただけない。別に芸能人を使ったからではなくて、80年代ころから、新聞、雑誌は、批判的書評を載せなくなっていったのである。
 メイン書評は昔からだいたい褒め書評だが、「朝日新聞」では、「ベストセラー快読」という欄があり、ここでは批判ができたし私も書いていた。『週刊朝日』では私は「受賞作を読む」というのを連載して、これも割と批判していたが、批判すると「抗議」が来るようになり、こういうのはなくなっていったのである。劇評もそうである。