やや必要があって、本多勝一の『日本語の作文技術』というのを見ていたら、エンツェンスベルガーの文章が引用してあった。それはまあ、国ぐにというのを理解できたためしがない、という、いくらか国家不信論みたいなものだったが、それを本多が絶賛して、
 「この「うそぶき」は実はたいへん論理的な事実なのだ」
 と書いているのだが、意味が分からない。この「うそぶき」は「とぼけて知らないふりをする」の意味だろうが、それが「たいへん論理的な事実」だというのはどういうことか。『日本語の作文技術』という本でこういう意味不明な文章を書くところが、あいかわらず本多勝一だと思った。