25日にNHKでやった、パニック障害を扱ったらしいドラマ『途中下車』を観たが、失望した。パニック障害はただの看板に過ぎず、イクメン志向っぽい家族愛ドラマの生ぬるいものでしかなかった。
 だいたい、40歳のモーレツサラリーマンで妻が原田知世とかいうリア充北村一輝がやっても、世の中にはもっと恵まれない患者がたくさんいるのだから、患者らとしても不満なドラマだったろう。
 劇中では、北村がはあはあ息をしたり胸をかきむしったりするのだが、実際のパニック障害というのは、外見では分からないということが多く、ただ内心で恐怖しているだけである。これは身ぶりではなく内面ナレーションで処理すべきだった。笠浦さん。
 それと早々と薬を呑んでいるのだが、なぜか精神科へ行く場面がなく、たいていこの病気は、医者へ行かずに治そうとして悪化させるものだが、そのあとでカウンセラーにかかるという展開で、薬を呑んでいればある程度は緩和されるもので、カウンセラーはあまり(時には全然)役に立たない。むしろ、話し相手がいないというような患者にとって、カウンセラーは話し相手としての意味を持つだけである。さらに、何やら北村の自信過剰が病気の原因(少なくとも遠因)のように描いているのは、自己責任論めいていて、実際の患者への配慮を欠いているだろう。
 あとこのタイプだと、各駅停車は乗れるが急行には乗れないといった症状を呈することが多いが、そういう分別もなかった。まあ、取材勉強はしたのだろうが、リアルに描くとドラマにならない、というところか。