名刺を整理していたら講談社の石井さんのがあって、携帯番号もあったから、かけてみたら柳美里さんと話が通じて、ブログも修正してもらえた。いやこんな程度のことで訴訟はしないですよ。しかし連絡先がとんと不明だったので困っており、ツイッターでのリプを代理の人が見て伝えていると思っていたのである。 

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ところで岸本葉子さんの新刊『生と死をめぐる断想』を入手してぱらぱら読んだのだが、硬質な文章が久しぶりに東大卒の岸本さんを感じさせてそこは味わいどころだが、後半ではスピリチュアルとか鈴木大拙とかユングとか伊勢神宮の話になって、あまり感心しない。右傾してしまうんじゃないかという懸念もあったが、さぞかし死の恐怖と厳しい戦いをしてきたのだろうなあと思わせる。
 その一方、前半では、岸本英夫、頼藤和寛、多田富雄らの闘病記に触れられている。岸本英夫に関しては、早い時期にがん宣告を受けているので、読むのも恐ろしかったが、のち、師匠の娘と結婚していたことを知り、同情の念が薄れたことがある。
 だが岸本葉子さんが、彼らが「知」の人であるために、前近代的な「来世」「天国」といったものを信じることができなかった、と書いているのが気にかかった。私も、知識人というのはひときわ死に恐怖を感じるのだろうと勘違いしていたことがあるが、一般人でも同じことだと思う。
 かつまた、宗教が生きていた前近代や、死後は神の国へ入るのだということになっているキリスト教徒であっても、同じように死は恐ろしかったのである。
 あと、東北大地震が、日本人の平均寿命を変えるほどの被害をもたらしたと書いているが、これは事実ではないだろう。