島本和彦の『アオイホノオ』を読んでいる。ドラマは観なかった。「フィクションです」と書いてあるが、まあ島本の若いころを描いた「私漫画」である。大学時代から始まっているが、島本は私の二つ上なのでわずかにズレがある。島本はもちろん漫画家を目ざしているが、アニメにも興味がある。庵野秀明も出てくる。
 で、彼らは、関心のありかが私と違う。当たり前だが、私はあだち充には興味がなかった。『めぞん一刻』は好きだが、『うる星やつら』は当時から面白くなかった。さらに彼らは「絵」と「動き」に関心があるが、私は「ストーリー」に関心があった。私が好きだったアニメは、『赤毛のアン』『キャンディキャンディ』『ミンキーモモ』である。
 ここまではいい。驚いたのは、島本が「太陽にほえろ」に興味があったらしいことである。アニメでも特撮でもないではないか。邪道だ。「ロッキー」も好きらしい。
 それで私は同世代の男子と趣味が違ってしまったのである、ということを思い出したのだが、それがだいたい「太陽にほえろ」あたりから始まる。宮崎勤も、アニメ特撮だけでなく、アイドルに関心があったから、自分とは異質だと思っていた。まあ、世間から見たら内ゲバみたいなものだろうが。
 四巻まで読んだら、島本が、ゴジラガメラといった怪獣映画に全然疎いということが分かってこれは驚いた。私の世代でそれはかなり変わっている。漫画の中でも周囲から驚かれているのだが、なぜなのか説明してほしいほどだ。もしかすると島本はやはり、元来が「スポ根」好きで、周囲に合わせてアニメや特撮に関心があるふりをしていただけなのかもしれない。