『文藝家協会ニュース』三月号で、山崎ナオコーラが「ひきこもり」というエッセイを書いている。私がそれを読んで、不遇だと愚痴を書いている、とツイッターで書いたらご当人が怒っているようだ。読まずに言われるのも困るので、抜粋しておく。

 私はこれから、外を向かないようにする。
 仕事をしに外に出ると、「ぶす」と言われる。私は容姿が悪い。(略)
 今となってはもう、周囲の人には、理解してもらわなくても構わない。いまだに私は、やっていることを、社会活動ではなく、自分を評価してもらうためにやっている、と周りから思われてしまっている。(略)今までに作品を誰からも褒めていただいたことがないので、しょげているからだろうか。とにかく、今後も「ぶす」と言われるし、お褒めの言葉をいただくことはない。そう思うと、身近な人たちの理解もいらない気がしてくる。(略。作家の友人はたくさんできたが)その友人たちは、どんどん素晴らしい仕事をして、評価もされていっている。私は、自分が嫉妬さえ抱かないことに気がつく。

 その後で、自分が努力をしていないからだ、これからがんばろうと続くのだが、別にこれを、不遇であることの愚痴、ととっても、間違ってはいないと思うのだが。それにしても「社会活動」って何だろう…。
小谷野敦