ザ・チェリーズ

 おそらく1978年4月だと思うのである。なぜなら私は高校一年で、結婚したいとまで思いつめた竹下景子さんがデビュー曲「結婚してもいいですか」を出した時のことで、NHKの歌番組「花のステージ」に出演して歌ったはずだからである(ウィキペディア調べ。なお「ヒット曲」とあるがヒットはしていないから「デビュー曲」とするのが正しいだろう)。この番組にはユミ、カコ、ミサという三人組マスコットガールがいて、これを歌手デビューさせたのだが、公開録画番組内でそのことが発表され、司会者が、どんな名前がいいでしょうと言って客席まで降りて行って訊いたのである。ウィキペディアによると司会者は伊東四朗らしいが記憶にない。もっともNHK八時台の番組だから夕飯のあと普通に家族で観ていたので、時期はもうちょっとあとかもしれない。うちの台所にテレビが来たのは79年になってからなので、居間で観ていたとしたら、父親が伊東四朗が好きだったからということもあろうか。
 さて、三人くらいの、50代から60代の観客に訊いたのだが、二人くらいは「さあ…」と言って答えなかったが、一人、60代くらいのおじいさんが「明るいからサニーズなんてのはどうでしょうね」と言ったのを記憶しているのである。もう明らかにそれは「キャンディーズ」のまね、であった。以下参照。
http://blogs.yahoo.co.jp/cherrycreekjp/57619014.html
 だが翌週には、見ての通り名前は「ザ・チェリーズ」と公表されたのである。サブカル大百科のウィキペディアにも立項されていない。だがそうなると、名前は最初から決まっていたわけで、「サニーズ」なんて言ったおじいさんはいい面の皮である。おそらくディレクターの思いつきで、観客が口々に色々な名前を言うことを期待したのだろうが、発言したのは「サニーズ」のおじいさんだけだったため、いい恥をかかされたわけである。ああおじいさん、私だけはあの「サニーズ」を覚えていますよ…。