大江健三郎の「私小説について」(『厳粛な綱渡り』所収)に、ハンセン病作家の日下直樹の「不肖の子」という小説を論じているところがあるのだが、これがまったく見つからない。『ハンセン病文学全集』にもないし、検索しても出ないし、『戦後日本文芸雑誌小説初出一覧』にもない。くさか、と読むのか、ひのした、と読むのかも分からない。(付記)教えてくれる人があって、多摩全生園の同人誌『多摩』の1961年7月に載っていることが分かった。 

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私は『出版ニュース』に月一回、「凍雲篩雪」という時評みたいなものを連載している。ブログに書いたものを移していることもあり、私はブログに書いたものが活字になると基本的に削除することにしている(忘れることもあるし、どこからどこまでが活字になったか分からないこともある)。
 しかしこれの場合、広く読まれているとは言い難く、未だにネット上で、『出版ニュース』に小谷野がこんなことを書いていたというのを見たことがないので、活字はネットを使わない人用ということで、削除せず残すこともある。
 だが来月から電子版が出るというので、その普及具合を見て適宜削除することになるだろう。 

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http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20111210
この「時岡四姉妹」だが、そのあと細江光さんにお尋ねしたら、谷崎は大正十年(1921)の「ある不幸な母の話」で、時岡という姓を使っており、これは関西へ行く前だからあまり関係ないのではないかという話であった。