「日本文学館」という出版社について、ここは嘘をついて結局自費出版になる、と書いてあるブログがあったが、嘘はよくないとして、この人は自費出版以外で自分のものが出ると思っていたのかという疑問がある。

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私は武田泰淳の、生き方はいいと思うのだが、作品をいいと思ったためしがない。『司馬遷』にしても、どこがそんなにいいのか。「司馬遷は、生き恥さらした男である」というが、それって、ペニス中心主義とかファロセントリズムってものじゃないのか? フェミニストは武田を批判しなかったのか? 仏教的にいったら、ペニスなんか切り取るのが正しいんじゃないのか?
 平野謙というのは、松本清張水上勉推理小説も認める、というあたりからのし上がって行ったのかもしれない。小林秀雄も、菊池寛とか、林房雄の『青年』とか、大衆的なものを褒めつつプロレタリア文学に抵抗するという姿勢でのし、中村光夫はけなし藝でのし、しかしどういうわけか社交はうまくやって芥川賞選考委員になった。だって中村が貶した谷崎潤一郎志賀直哉って、戦後には文壇の中心にいなかったから。中心にいたのは川端康成だから、中村は川端には手をつけなかったんだなあ。