二年くらい前だったか、高校の国語教師の集まりで講演を頼まれて行ってきて、日本語教育と文学教育は分けるべきだって話をした。いつも言っていることだが、おそらく私の本など聴衆はほとんど読んでいなかったから、えらく反応は悪かった。日本語教育というのは、もちろん、論理的で平明な文章の読み書きを教えるということである。終わって質問を募ったら、いかにも団塊の世代風の男性が立って、「吉本隆明によると…」って言い出したからへなへなしたね。吉本こそ非論理的で読解不能な文章の書き手なんだからねえ。これはもう日本語の将来は暗いや、と思ったことであった。