坪内祐三と粕谷一希

 坪内祐三は、『東京人』の編集者だった。都市出版という、中央公論社を辞めた粕谷一希が興した会社である。だが、坪内と粕谷の関係は、今ひとつ分からなかった。『en-taxi』に坪内が、辞めた経緯について書いている。一言でいえば粕谷のワンマン経営で、人を採ってはクビにするということが続いたので、坪内が諫言すると、粕谷が、「みなが君を怖いと言っている」と言い、坪内は都市出版を辞めることになったという。その後、坪内が粕谷を裏切ったという話が流れはじめ、それは粕谷から出たものらしかった、と続く。
 丸谷才一の追悼文なのだが、坪内と丸谷がすれ違い続けた歴史も書かれていて、面白い。