著書訂正

文学賞の光と影』
77p「志茂田景樹が『人間革命』のゴーストライターをしていた」
  ゴーストライター要員にはされたが、書く前に学会を辞めていた。
104p、宮内勝典大阪芸術大学卒 間違い。高卒。

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こないだある人が、高橋源一郎谷崎賞をとったことを嘆いていて、筒井康隆が選考委員であることから、「筒井さんがなんであれを」などと言っていたのだが、筒井は高橋が三島賞をとった時も選考委員で、高橋は自分らの先達のようなものだと絶賛していたのである。今回も絶賛に近い。なんか情報が行き渡っていないのを感じる。

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文學界』の上野千鶴子の連載は、前回にひきつづき迷走の度合いを増している。中でも、夫婦別姓に反対している高市早苗を、「言行不一致」と呼んでいるところが意味不明で、高市は通称使用を法制化すべしとの立場だから、結婚して姓が変わっても国会で高市でいるのは全然言行不一致ではないのだが、これに注がついていて、高市は通称使用OKの立場だが、「多くの夫婦別姓推進論者は、戸籍と通称の不一致が不便だと訴えています」と、なぜかですます調のこの連載で言うのだが、高市の法制案はまだ成立していない。成立していない法案について、「不便だと訴える」もなかろう。もし不便だと訴えるとしたら、大学教師が対外的には通称姓、つまり実質上の父親の姓を使えても、公的手続きでは戸籍姓つまり夫の姓を使うのが不便だと訴えているのであって、むちゃくちゃなのである。しかも夫婦別姓推進派の野田聖子のもくろみが、家名の存続という「封建的」なものであることが明明白白となった今、なおそういうことを言うか。
だいたいそもそも上野は、結婚制度反対論ではなかったのか。いつの間に転向したのか。結婚制度に反対する以上、夫婦別姓かどうかなんてことにはインディファレントでなければおかしいだろう。あるいは、戸籍をなくせくらい言えないのであろうか。情けない。
 上野は、80年代には、凡庸なフェミニストとは違うことを言う人だったが、だんだん劣化していって、今ではまるで凡庸を演じているみたいになってしまった。もっとも今回、江藤淳に触れたところだけ、保守と反動は違うなどと言っていて、江藤を擁護しているのだが、何だか意味が分かりませんね。自分を攻撃しない人はいい、と言っているみたいでございます。