論文作品主義

 仮に名づければ「論文作品主義」とも言うべきものが、人文学社会科学の一部を毒している。特にひどいのが文学の論文で、ここでは何を明らかにしたか、ということを明快に述べるのじゃなくて、何か論文自体を文学作品みたいに仕立て上げようという意図を持ったもの、がほとんどである。中でも英米文学や日本近代文学にそれが顕著で、お前は何が言いたくてこれを書いたんだと。論文は文藝評論じゃないんだぞと、いうようなものが多い。