「信じる」の用法

 呉智英さんがさる科学者について、「1、UFOはあると思いますか。2、あるとしたらそれに乗ってどこへ行きたいですか」というアンケートに「ない。ないものには乗れない」と回答した話を紹介しているのだが、だいたいそれを読んでから私は「UFOを信じない」「幽霊を信じない」という言い方は変だと思うようになった。信じるとか信じないとかいうと、個人の思想信条を述べているようで、「ない」と言うべきなのである。しかし、それで仮にオカルトな人と会話すると、「目に見えるものしか信じないんですか」「信じないんではない。ないんだ」といったことになるだろう。
 あと妙な「信じる」の使い方をする人がいて、さる女性学者が、自著を×××に批判された時、「いいです。×××なんか信じてませんから」と言ったのだが、これは何か変だろう。いや、誰もあなたが×××を信じているとは思ってないから、というところか。