ピアレビューって何?

http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/11/post_1808.html 
 この文章を読んで、ははあ東大准教授ともなると40くらいでこんな「たてまえ文」を書くのか、と感慨にふけった。
 英文学会とか比較文学会というのは確実に会員が減っていると思う。だいたい院生とか若い学者が学会へ入るのは就職のためである。しかし学会誌に投稿して学会の懇親会に出て、就職が決まるというようなことは、昨今どんどか減っているから、こんな牧歌的なことを言っていられるわけがない。ましてや40、50で専任がない、なんて人は学会費だってバカにならないし、論文は原稿料出ない。学会というのは、まあ30ちょっと過ぎて、東大の院出身ならだいたい専任になれるというような社会を前提として成り立っていたのだから、その前提がなくなれば成り立たないのは当然である。 
 私は「ピアレビュー」という言葉を、聞いたことはあるが、なんか理系の話だと思っていた。査読のことか。しかし英文学会では、もうしばらく前に、査読を通過して載る論文が一本か二本という状態が続いたことがあった。それはレベルが下がったのではなくて、英文学の業績なんか、英米圏で博士号をとって、英語であっちの雑誌に載せるのがエリートという状況になったのだから当たり前である。比較文学会なんかもっとひどくて、比較文学を専門とする者を対象とした大学の公募なんて、全然出ない。みんなだから、国文とか美術史とか、それぞれの専門に近い学会へ入ってそっちで活動して就職を目指している。
 まあ比較文学が特殊ともいえるが、『日本近代文学』だって、「ポスコロ、カルスタに非ずんば論文に非ず」(石原千秋)なんて状態、月刊の『日本文学』も歴然たる左翼雑誌と来ると、そんなところでまともな査読が行われるはずがないのだ。 

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最近、小倉千加子はどうしているんだろうなあと思っていたら、『週刊朝日』に連載していたのだった。もっともこれだけで生計が成り立つはずはないから、例の無認可保育所のほうが収入源なのだろうか。
 で、今週号は上野千鶴子のことを書いていて、面白い。『ユリイカ』か何かで上野の名を知って青土社に電話をかけて、平安女子短大の教員と聞いて大学へ電話を掛けたら、今アメリカへ行っているとかで、電話番号を教えてくれて(教えてくれたんだね)、数か月後に電話をかけて会ったのが最初とか。
 あといつのことだか分からないが、小倉が女性学を批判したら呼び出されて、全力であんたをつぶす、と恫喝されたとか。
 また最近のことで「爆笑問題」とかいうテレビに上野が出るというので反対したけれど出た、小倉は「痩せたほうじゃなくて太ったほうを向いて話すように」と言ったが上野は痩せたほうばかり向いていたとか。小倉は太田光がインチキ野郎だって知っているんだな。さすがだ。
 小倉にはいいところと悪いところがあって、悪いところは上野に支援されちゃうようなところなので、今回はいい千加子ちゃんということだ。