中西進先生

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111109-00000110-san-soci 
 ちょっと驚く。中西先生は82歳であるから、ずいぶん年下の奥さんだが、二度目の奥さんのはずである。水難事故で死んだ娘というのは、多分この奥さんの連れ子だったと思う。これも当時中西先生が『文藝春秋』に書いていたのだが、その姉で、やはりこの奥さんの連れ子が東大比較にいて、姓が中西ではなかった。妹さんが水難死した際にアイルランド留学中で、そのショックからアイルランドで医学部へ入りなおして医師をめざし、今もアイルランドで医師をしているのではないかと思う。

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三島由紀夫とかいう作家の『禁色』を読み始めたら『帰郷』なんか問題じゃないぐらいの通俗小説で、やおいじゃないかと思ってしまい、しかもやたらと衒学的なので途中で放り出した。ところが、主人公である檜俊輔という66歳の、既に三種類の全集が出ているというのが、最後のほうを見ると、萱野二十一と親しかったと書いてあって、こりゃ谷崎潤一郎じゃないかと思ってそこだけ読んだ。萱野二十一というのは、郡虎彦が初期に使った筆名である。しかしそのうち、檜俊輔は谷崎、日夏耿之介佐藤春夫、芥川と並んで、と出てくるから、一応谷崎ではないことになっている。ただその作品に「魔宴」というのがあることになっていて、『禁色』の連載が始まる直前に、木村荘太が自伝『魔の宴』を刊行して自殺しているから、木村荘太も交じっているかなと思ったのだが、まあ結局、谷崎とか川端とかを混ぜ合わせたような作家だろう。長田幹彦ということもある。ただ、三回結婚したというあたりは谷崎。顔が醜いというところは、谷崎のようでもあり川端のようでもあり、むろん三島自身のようでもある。
 こういう架空の作家を登場させるのは、小説作法的には危ういところで、何しろ実際にはいないわけだから、私なぞはけっこう白けてしまう。
 しかし川端なんぞは、結構自分がモデルのような気がしたんじゃ、あるまいか。