ヨーク軍曹

 先日、西洋では良心的徴兵忌避者は英雄扱いされるのに、日本では非国民扱いされる、などと言っていた者があったので、そんなヴェトナム戦争以後のことと第二次大戦当時のことをまぜこぜにしてはいかんと言ったら「ヨーク軍曹は」と言う別の人があったので、ウィキペディアで見て、戦争行ってるじゃないかと答えたら、冗談だったらしくすぐ納得した。
 「ヨーク軍曹」という、ハワード・ホークス監督、ゲイリー・クーパー主演の映画があったので観てみたら、あまりのことに失笑してしまった。第一次世界大戦当時、テネシー州のヨーク青年は、暴れ者の農民だったが、キリスト教に目覚め敬虔な信徒になる。射撃の腕前は村内一。そこへ戦争が起こり、良心的兵役拒否をしようとするのだがうまく行かず、参戦する。苦悩するが士官たちの勧めでいったん帰郷、聖書を読み直し、「カエサルのものはカエサルに」というところで悟り、戦場へ戻って伍長となり、味方がドイツ軍の機関銃掃射でやられている時に、得意の射撃でドイツ兵を次々と撃ち殺し、英雄となっていくつもの勲章を貰い、軍曹に昇進して帰郷、かねての恋人と大きな土地を持つ、という話だ。
 1941年の制作だが、日本公開は1951年で、さぞかし日本国民は不快だったろう。キネマ旬報でも、誰も一点も入れていない。しかし恋人の女優はかわいかった。まあ、みんながみんな「良心的兵役拒否」なんかしたら国が成り立たないから、英雄になる、なんてことはない。

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私の自動車免許は、もう十年以上前に失効しているが、これは視力の矯正がこれ以上利かなくなったからである。しかし、免許をとって良かったと思うのは、自転車に乗っていて、教わったことが役立つからで、右へ曲る時、進路を変える時など、後方確認をするのだが、自転車で後方確認をするためには、かなり体をねじらなければならない。
 近ごろ無灯火自転車が目立つのだが、やはり自転車も免許制にすべきだろうと思う。

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Dr.中川のがんを知る:実践編53 「普及啓発懇談会」座長として
2008.11.04 毎日新聞・東京朝刊 14頁 

 ◇学校教育、まず先生から
 厚生労働省は10月24日、「がんに関する普及啓発懇談会」の初会合を開きました。メンバーは、有識者や企業・団体関係者、乳がんの経験があるタレントの山田邦子さんら9人で、僕が座長に選ばれました。
 日本は、国民の2人に1人が、がんになる「世界一のがん大国」ですが、「がん対策後進国」に甘んじています。これは国民が「がんを知らない」からだと思います。だから、とても大事な会合と考えています。
 昨年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、「10年以内にがん死亡率を20%減らす」という大きな目標のために、「5年以内に検診受診率を50%にする」ことを課題にしています。がんの原因の2〜3割がたばこですから、喫煙率を減らすことも大事ですが、禁煙の効果が出るには30年以上かかります。一番即効性のある対策はがん検診であり、この懇談会でも、がん検診受診率を高めることを目標にしています。
 ただ、単に「検診を受けましょう」と呼びかけても無駄でしょう。がんに関する正しい知識をもってもらうことが先決で、その結果として、がん検診の受診率が上がる、という順番だと考えます。拙著「がんのひみつ」(朝日出版)をもとにした、がん啓発のための小冊子を配布したうえで、この考えを説明しました。(後略)

 私はこれに基づいて言ったのである。ねじこみたいなら中川のところへ行ってくれ。
 さて「医者を信じない」というのは、全ての医者の全ての発言を嘘だと思う、という意味でないことは、誰が見たって明らかである。こういう、相手の発言を勝手に全称命題にして揚げ足をとるのはかつて森岡正博もやったことだ。
 なおまじめに答えると、仮に疫学の専門家が、私の言うことに分があると思ったとしても、名前を出して協力はしてくれない。そんなことをしたら村八分に遭うからである。それを「ファシズム」と言っているのだ。

 (小谷野敦