文学報国会の時代

 前から言っていることだが、夫婦別姓法論者らの裏にあるのは、一人娘を持つ親どもの家名存続というリベラルどころか前近代的な思惑である。
 しかし民主党案では、子供の姓は先に決めておくことになっている。それなら問題ないかというとそんなことはなくて、子供が生まれた時点で離婚して親権を請求して裁判を起こし子供の姓を母方に変えてしまうことだってできる。離婚裁判と親権は母方に甘いからね。
 別姓法なしでもそれをやろうとしたのが別姓論者の野田聖子で、未入籍のまま人工授精をやり、あれもし生まれていたら自動的に野田姓になるわけだ。鶴保もバカだからそれになかなか気づかなかったというわけ。菅がそういうことが分かっているのかいないのか。

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 私は昔、吉野孝雄と吉野秀雄を混同していたことがあった。その吉野孝雄『文学報国会の時代』を読んだらこれがひどい本だった。前に書いた中河与一ブラックリスト事件について、証言した井上司朗をすっかりバカにした調子で、森下節についても「こんなこと言う人もいますが」といった具合で、真実を明らかにしなければならないと言いつつ何も新資料はなくて、ただ中河がいかに右翼的であったかを言うだけ。平野謙中島健蔵の陰謀だという点にも触れず、杉野要吉の平野批判も無視。
 また河出書房から出ているのに、細かい間違いが多くて、『婦女界』を『婦人界』、『真珠夫人』を『真珠婦人』としたり、参考文献では「講談社学芸文庫」なんてのがある。また菊池寛がマント事件で一高を退学になり京大へ行っていたのを知っているのかいないのか、京大生だったが芥川の誘いで第四次『新思潮』に参加したとか、第三次『新思潮』の編集長が久米正雄だとか(久米は本郷に住んでいたから事務所の住所にしただけ)、怪しい記述満載である。
 「アラヒトガミ事件」についての記述も粗雑極まりなく、平野謙は井上司朗が黒幕だなんて書いてないのに吉野はそう書く。しかもこの事件から久米が事務局長を任期満了で退任するまでは一年もあるのに、時期を曖昧にしか書いていない。(一行ごとに典拠不明な文章が出るほどなのでいちいち列挙できないひどさである)。
 宮武外骨については調べたが、それ以外はよく知らない人らしい。

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光化学スモッグが出たら、必要以外の自動車の走行は禁じてほしいものだ。
 あと無灯火自転車の多いのも困るが、チカチカ点滅するやつ、あれは却って幻惑させるから、警察で推奨しない旨達してほしい。