大河ドラマに革命が起きた

 うーんまた坂本龍馬かよと思っていたら驚いた。『坂の上の雲』もそうだったが、NHKに何が起きたのか。この20年「江戸ブーム」で、それ以前の、厳しい身分制社会、貧農史観は過剰に見直されてしまって、インテリでさえ「お江戸でござる」的にみんな明るく楽しく生きていたみたいな江戸幻想を抱いている人がおり、大河ドラマもその例に漏れず、お姫さまが下級武士とデートしたり、家臣の妻が信長の前へしゃしゃり出たりとえらいことになっていたが、ガラリ変わって、下級武士の貧しく汚い生活をきちんと再現しているではないか。これだこれだ、これが本当の徳川時代だ、俺が言いたかったのはこれなんだ、これで「江戸幻想」も吹き飛ぶぜと随喜したぜよ。
 上士が下士を切り捨て御免でお咎めなしなんて、ありえないと思うが、シナリオは手だれだ。あるいは、たいてい大河ドラマに出てくる女はみなきれいきれいなお化粧をしていたのが、あの寺島しのぶの砥粉でも塗ったような顔色はどうだ。さすがに眉剃り、鉄漿はないが、よくぞやったりである。
 あとビデオ撮りのはずだが『坂の上の雲』以来、フィルム撮りに近い色調になっているのは新技術か。政権が変わると大河ドラマも変わるのか。ああ、十年間「江戸幻想」と孤軍奮闘闘ってきた甲斐があったと俺は泣いた。

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鴻上尚史の「朝日のような夕日をつれて」は「リーインカーネーション、生まれ変わりを私は信じます」というユニゾンのせりふで終わっていたのだが、当時私はこれを何かの比喩だと受け取っていたが、考えてみたらけっこう鴻上は本気で輪廻転生を信じていたのじゃないか。何しろニューアカ時代だから誰も何も言わなかったが、当時ラジオのDJなんかやっていた鴻上は、オカルトだったのではないか。

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最近、親が死んで死体遺棄で逮捕されるというニュースが多いが、私は母死去後、葬儀、法事、仏壇、墓地、墓石で一千万以上かかっている。これでは貧乏人は死体遺棄せざるをえない。政治家はそういうことを把握していないのではないか。どうせみな、先祖代々の墓がある人たちばかりなのだろうから。