足利尊氏は悪人扱いされたか?

(活字化のため削除)

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週刊読書人』に『大河ドラマ入門』のことが書いてあるとオタどんに教えられ、図書館で見てきた。まだ見本本もできてないのに、詳しい。さすが光文社(なのか?)
 だがその読書人の第二部一面に立川談四楼の新書十冊推薦みたいなのが載っていて、『遊女の文化史』があったのでげんなり。しかも文面を見ると「書いてあるだろうか」などとあって、全体に読まずに書いたらしく見える。「当然、好きで遊廓で働いていた女もいるはずで」(うろ覚え)とあって、何を根拠にそういうことを書くかなあ。私の知る限りそんな例は徳川・明治を通じてないのだが。
 談志師匠の「幽女買い」というのを聴いたことがある。あの世へ行って「幽女」を買うという話だが、「ゆうじょ? 古風だね」という台詞がある。つまり徳川時代に「遊女」なんて言わなかったのである。「じょうろ」である。『遊女の文化史』に書いてあるような、近松が描いたような客と女郎の心中なんて絵空ごとで、「品川心中」のほうがよっぽどリアルである、佐伯さんは落語を聴かないから、とまで私は『江戸幻想批判』に書いたのだが、それを落語家に褒められちゃあまったく残念、としか言いようがない。「三枚起請」「文違い」「五人回し」と、どれを聴いても『遊女の文化史』みたいなきれいごとの嘘はない。『遊女の文化史』より、落語協会会長の書いた『トルコへ10倍楽しく通う法』のほうがずっといいと思うんだが。