岩佐又兵衛

 辻惟雄岩佐又兵衛』(文春新書)には、大橋新太郎を、博文館の創業者、と書いてある。むろん間違いで、創業は父の佐平である。ところが砂川幸雄『浮世絵師又兵衛はなぜ消されたか』(草思社、1995)を見たら同じことが書いてあり、しかも新太郎がそれ以前は新潟で『越佐毎日新聞』を発行していたとあり、これも佐平だが、佐平は新聞を新太郎に任せて上京し博文館を始めたからややこしいが、新太郎が「二代目」であることは「富山唯継」の名からも有名なことで、辻先生、間違いを引き継いだのかな、と思った。 
 しかしアマゾンのレビューにも書いてあるが、この話はなんか勧善懲悪みたいでおかしい。又兵衛は浮世絵の元祖ではないと言った藤懸静也と笹川臨風が悪玉で、辻惟雄がそれを打ち破ってしかも東大教授になった、みたいな話だと、正しいことを言えば東大教授になる→東大教授にならないやつの説は間違い、とかになりかねない。

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瀬地山角鬱病なんだなあ。まあ学者としての才能がもともとないんだから、いっそ東大をやめて専業主夫になって『東大准教授からハウスハズバンドへ』ってな本でも書いたらいいのではないか。辞めたら楽になるよ瀬地山。

 岸本葉子ファンサイトの更新が止まっているのも気になるが…。

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先日、うっとうしくドメスティックな用件で会った50代の女性、私の職業など何も知らないだろう人に、住所を聞かれて「168の…」と言い出したら、ええっ、と驚かれて私のほうが驚いた。どうやらある種の人々の間では、住所を聞かれて郵便番号から答えるという習慣がないらしい。あとで「何の番号かと思って」と言っていたが、別に訪ねてくるわけじゃないのだから普通郵便番号から言うだろう。
 (小谷野敦